ミノミチ

そういったものを置きますからね

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最近の記事

新説・アリとキリギリス

勤勉なアリは、冬を越すために必要なものを春、夏、秋と集めては貯めていた。 キリギリスはというと、冬を越すよりも前に荒んでしまいそうな心を慰めるために歌を歌っていた。 「何故冬の準備をしないんだ、遊んでばかりで情けない!」 「遊んでいるわけではないさ。そうだ、君達のために歌うから何か食べるものを分けてくれないか?」 アリは、馬鹿馬鹿しい!とあしらってせっせと働く。 キリギリスは相変わらず歌を歌った。 やがて冬が来て、当然のようにアリはキリギリスを見捨てた。 戸外で

    • 会然TREK 2K20▼02を見た馬の骨ではないファンのぼんやり日記

      表題のライブを見るために栃木から大阪へ大移動する私の話ですが読み応えはないぞ〜〜〜!!! さて、前置き 今回のライブツアーが発表された時点で私はギリギリGN会員になっており、しかも別件で九州へ旅行してもおり、名のある神社で絵馬まで書いてきてチケットを血眼で取りました ありがたいことに参加できるとあって、しかも2020年明けでわりとすぐだし!とワクワクでみっちり着付けの練習をしてまで着物も着たり…ど浮かれクソミドリ治安悪人間はそのように下準備をしておいて向かったわけですね

      • ティファールの神様

        神様は簡単に産まれる。 神様は簡単に作られる。 何故なら人は理解できないものを理解できるようにするために、在りもせぬ超常の者を自らの上に置きたがるのだ。 こんな話がある。 男が旅先で携帯電源を使い電気ポットで湯を沸かしている時、老人に声を掛けられた。あっという間に湯を沸かしたという事実だけしか認識できなかった老人は男を神だと認識し、近くの村へと連れて行く。 そうか、知らないものは不思議だろうな、と男は少し得意になってまた湯を沸かして見せる。するとどうだ、村人は次々に

        • お兄ちゃんは僕の未来と心中した

          10も離れた弟は、世界に望まれて生まれたような天才だった。 かたや兄の俺は、自分の人生が50年先も流れ作業みたいにつまらなく進むことが分かってしまっていた。 絵を描けば賞を貰い、作文を書けば賞を貰い。 驕らず、誰にも優しく接して、慕われる。 たった6歳の弟には豊かに枝分かれした未来が用意されていて、父母もその行く末に自らを投げ打つ覚悟すら見せていた。 俺の、俺のものだった道を一本になるまで削ぎ落としてから過ちに気付いて、その可能性を捨てたからこそできる覚悟だろう。

          100階建て百貨店のフロアにいる賢者

          「オニイチャン、ここには何回来たの?へえ、初めて!いつも買い物はどこでするの?ここ変なとこだろぉ?細長くて、ああ、俺ァここに詳しいんだけどサ、来るやつみィんな目的のモノが見つけらんなくってね、ここでうろうろしてんだよ。 フロアーマップっての?あんなのね、ずっと探しててサ、いやね、受付のオネエチャンに聞くと分かるんだけどあれもバイトでやっすい給料分しか働かねェのよ!70階辺りかと存じますぅ、なんて言うんだよな!でも俺ここよく来るから、知ってンだ。 欲しいモノのこと絶対忘れね

          100階建て百貨店のフロアにいる賢者

          昨日会ったあの男は星の王子様だったかもしれないと、起き抜け午前8時45分の私は思う

          こんにちは、と声を掛けられた。 やる気のない男というラベルを自分に貼り付けてファミレスでぼうっとしていただけの私を、話しかけることのできる対象と認知したのだ。それはほとんど酔狂なのだろうが、自称やる気のない男はラベルの通りに動く。 立ち尽くしている彼の、テーブルにだらりともたれかかる私への視線は少々異質だ。 「何か御用ですか」 「ええ、まあ。あなたはこの石を見てどう思います?」 にこにこと差し障りのない笑顔を向けてくる男性は、豚バラ肉をポケットから出して私に見せてく

          昨日会ったあの男は星の王子様だったかもしれないと、起き抜け午前8時45分の私は思う

          祈りの態様とは

          「祈るのは誰のためだ」 午前一時の公園、目の前でおじさんがボソボソと呟いている。俺がベンチで少し意識を飛ばしている間に近づいていたらしい。気付かなかった俺が悪いが、正直に言うなら、不気味すぎて取り合いたくない。 おじさんは返事を待っているのか、そのまま突っ立っている。と思えば急に俺の隣に座り、また聞き取りづらい声量で同じことを聞いてくる。 「居るか知らないですけど、神様じゃないですか」 悪手の中の悪手を打って、状況の打開を試みるのはギャンブラーのやり口だ。そこから起死

          祈りの態様とは

          だから、箱。

          グラタンが出てくる場所がある。 毎日働いていればグラタンが出てくる、働かないと出てこない。 毎日行う仕事の内容はとても簡単で、小麦を刈り取り、指定の場所に置くというだけ。 天気はいつも快適で、ほどよく雨はあり、ほどよく日はのぼる。とても過ごしやすい環境で外でも苦はなく日没まで働いている。 グラタンを食べたくない時は小麦とともに育てている他の作物を食べて過ごす。グラタンに飽きた時にこの作物も合わせて指定の場所に置くとアレンジされて出てくるのでオススメしたい。 とにかく

          だから、箱。

          どうも、どうも

          いや、死を恐れるのは如何なものかと思ってね。だってほら、死ぬことは体験できないから怖いってのは分かるけれども。私もよくわかんない長い虫とか怖いんだよ、どこから出てくるんだろうなあれ。ま、そんなことは置いといて!それなりに生きてる君は、死を見たことくらいあるだろ? 怖かったかい?ほー、悲しかった。そうかそうか、じゃ、怖くないじゃないか。別に死ねって言ってるんじゃないんだ、死を恐れる人間ってどうなのかって話。私も死ぬのは嫌だよ〜。 うん、で、このタイミングで言うけど。私は死神

          どうも、どうも