11年目農醸 私たちの酒米の生育記録10
あんなに暑い夏だったのにちゃんと冬が来て、大潟村でも真冬日を観測した程でした。
出荷された私たちの酒米は精米されていよいよ福禄寿酒造さんでの仕込みが始まりました。今回は仕込みの様子をお伝えします。
甑(こしき)という設備で蒸気でお米を蒸します。
量が多い場合は蒸し米機を使って蒸し上げます。
蒸し上がった私たちの酒米です。写真では分かりにくいかもしれませんが、大粒の酒米が50%まで削られて小さくなっています。
蒸気に蒸された直後から雑菌の侵入の脅威があるため速やかに仕込みを行うのですが、蒸し上がった直後は温度が高すぎるため、放冷機という機械で速やかに冷やされます。
そして、タンクまで走って運んで速やかにタンクに投入されます。
これは酒母(しゅぼ)と呼ばれるもので、日本酒づくりのスターターのような位置づけです。一気に仕込むのではなく、小さい単位から仕込んで働いて欲しい菌を増殖させて活性化させてからより大きなタンクに仕込んでいくことによる雑菌の繁殖を抑えるのが目的です。
掛米(かけまい)が仕込みに使われる米で、麹米(こうじまい)が麹をつくるのに使われる米です。麹米に麹菌をふりかけて繁殖させる事により、でんぷんが糖化されます。その糖分をエサにして酵母と呼ばれる微生物がアルコールと炭酸ガスを発生させます。
はじめにしっかりと麹菌を繁殖させてから掛米と共にタンクに仕込むのですが、タンクに移った後も掛米のデンプンを糖化し続けます。
この糖化と糖がアルコールに変わる発酵が同時に進むことを並行複発酵と言いますが、たいていの醸造酒は既に糖化したものをアルコール発酵させていくことが多いため、並行複発酵は世界的にも珍しく日本酒が誇る高い技術と言えます。
麹米は麹室(こうじむろ)に速やかに運ばれます。
麹室は麹菌の繁殖に適した温度に設定されていますが、概ね30℃以上の所がほとんどだと思います。
秋田での真冬の仕込みは麹室の中と外で30℃近い温度差があることもあり、過酷な環境と言えます。(麹室の外が氷点下近いくらい寒いだけでも既に過酷ですね・・・)
その後は、既にお伝えした通り、酒母から仕込みタンクに移り、徐々に容量を大きくして段階的に仕込み量を増やして仕込んでいきます。
〇段仕込みと言われますが、3回に分ける三段仕込みがほとんどだと思います。
仕込まれた米がばらけるように櫂棒(かいぼう)という器具でお米をばらけさせるのですが、3回目の仕込みが終わると米だけでも約1tとなりますのでこの作業だけでも重労働です。
仕込みが終わったところです。
あとは成分分析をしながら理想的な状態になるまで温度を調節するなどして管理します。
例年仕込みが終わってから約25日で仕上がりますので来年の1月中には完成する見込みです。
私たちの日本酒、農醸ができるまであと少し!
引き続き皆で見守って行きましょう^^
●農家とつくる日本酒プロジェクト
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