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「国民総株主」が描く新たな経済圏 - ポイント制度から株主共生型社会へ

「誰もが株主になれる社会」
ZOZO創業者の前澤友作氏が提唱する「国民総株主」構想は、現代の経済システムに革新的な転換を提案しています。

前澤氏が描く「国民総株主」の世界では、日常のラーメン一杯が未来への投資となり、コンビニでの買い物が企業との新しい絆を紡ぎ出します。
本書を通じて描かれる未来は、すでに一部の先進企業で実践され始めており、その実現可能性は決して低くありません。今回は本書で提唱する「国民総株主」構想について紹介していきます。


カブアンドとは?

カブアンドは、「国民総株主」を目指す新しい生活インフラサービスです。電気、ガス、モバイル、インターネット回線、ウォーターサーバー、ふるさと納税など、日常生活に密着したサービスを提供する中で、利用額に応じて「株引換券」が付与される画期的な仕組みを採用しています。

例えば、月額1,980円のモバイルプランを利用すると、毎月217枚の株引換券が貯まり、これをカブアンド社の株式と交換できます。従来型のポイント還元とは異なり、企業の成長とともに価値が上がる可能性のある株式を取得できる点が特徴です。また、「KABU&プラス会員」(月額550円)になると株引換券が2倍になるため、より多くの株式取得機会が得られます。
このサービスは、投資初心者や長期的な資産形成に興味がある方に特に適しており、日常の支出を通じて自然と投資を始められる新しい経済参加の形を提案しています。

お金配りから見えた社会の現実

前澤氏の「国民総株主」構想からスタートしたカブアンドのサービス検討は、2019年の「お年玉キャンペーン」から始まりました。

初めてお金配りをしたのは、2019年の1月。当時、僕はZOZOの社長でした。  1月1日から始まるZOZOTOWNの新春セールをいかに盛り上げるか。ZOZOとして新春セールにかけられる広告予算には限度がある中、社長である僕が個人の資金でPRする分には予算は自由だろうと。会社ともいろいろ話した結果、個人的に「お年玉キャンペーン」をツイッター(現・X)上で実施し、ZOZOの新春セールのPRも同時にすることにしたんです。  これが、最初の「お金配り」でした。

引用:「国民総株主」

当時ZOZOの社長として実施した100万円のお金配りを通じて、彼は重要な社会的気づきを得ます。それは、予想以上に多くの人々が経済的困難に直面しているという現実でした。
この経験は、単なる一時的な現金給付ではなく、より持続可能な経済的包摂の仕組みが必要だという認識につながります。そして、その答えとして浮かび上がってきたのが「株式」という選択肢でした。

ポイント経済圏の限界

現代の消費社会で主流となっているポイント制度について、前澤氏は鋭い指摘を行います。「ポイント経済圏」は、企業が顧客を自社の経済圏に囲い込み、束縛するための仕組みに過ぎないというのです。
前澤氏は、新しい経済圏における企業と顧客の関係を「結婚」に例えています。ポイント制度による「束縛」とは異なり、株主となることで企業と顧客が「共に成長していく」関係性を築くというビジョンです。

ポイントが、企業からの一方的な「束縛」だとすると、株を持ってもらうことは、相互利益を願い合う「結婚」のようなイメージに近いかもしれません。「一緒にいい家庭(経済圏)を築いていきましょう!」という関係性や世界観です。

引用:「国民総株主」

企業と顧客が真のパートナーシップを築き、相互の利益を追求する関係性は、持続可能な経済成長の新たなモデルとなる可能性を秘めています。今後は、ポイント制度だけで顧客を囲い込むビジネスモデルに限界がくる点も前澤氏は言及しています。

新たな経済圏の姿

前澤氏が描く未来像は、さらに革新的です。日常生活のあらゆる場面で株式取得の機会が存在する社会を構想しています。
たとえば:

  • ラーメン店での食事で株が付与される

  • コンビニでの買い物で株式が貯まる

  • QRコードを読み込むだけで株式を受け取れる

この構想の実現に向けて、野村総合研究所が提唱する「ベーシック・アカウント構想」は重要な役割を果たす可能性があると前澤氏は言及しています。

この構想は、国民一人一人に「プレ証券口座」を提供することで、証券投資への参加障壁を大きく下げることを目指しています。これは単なる証券口座の普及策ではなく、国民の資産形成を促進するための包括的な構想となっています。
国民全員に「プレ証券口座」を提供することで、株式投資への参加障壁を大きく下げることができるのです。

カゴメに見る株主共生型経営の成功例

この「国民総株主」の文脈で注目すべきは、カゴメの先進的な株主戦略です。同社の株主の大半が個人株主という特徴的な構成は、意図的な戦略の結果です。

カゴメは株主優待を単なる特典としてではなく、「株主とのコミュニケーションツール」として位置づけています。優待品に必ず新商品を含め、その年のトレンドを発信するなど、企業の取り組みや考えを伝える機会として活用しています。
この取り組みは、前澤氏が提唱する「インベスタマー」(投資家と顧客の融合)の概念を、すでに実践している好例といえます。

未来への展望

本書が描く未来は、決して遠い夢物語ではありません。カゴメの事例が示すように、株主共生型の経営モデルはすでに現実のものとなっています。
技術的な基盤も、野村総合研究所の構想などを通じて着実に整いつつあります。残された課題は、これらの取り組みを社会全体に広げていくことです。それは、より公平で持続可能な経済システムへの転換を意味します。本書は、その転換点に立つ私たちに、具体的かつ実現可能な未来像を示してくれています。
前澤氏の「国民総株主」構想は、単なる投資促進策ではありません。それは、企業と個人の関係性を根本から再定義し、新しい経済社会の姿を提示する壮大なビジョンなのです。
ぜひ、一度、「国民総株主」の世界観に触れてみてはいかがでしょうか?

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

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