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「プレミアムモルツ」NFTプロジェクト体験記:失敗から学んだ、web3時代の新たな可能性

先日、サントリーが「プレミアムモルツ」限定ビールにNFT技術を導入するプロジェクトを実施しているという話を耳にし、早速、山崎ウイスキー樽で熟成した特別なビールを購入しました。

ブロックチェーンやNFTといえば、アートや投資などで注目されがちですが、実際の商品消費とデジタル証明を組み合わせる新しい試みは、将来のweb3サービスのかたちを予感させます。
初めての挑戦にはつきもののトラブルが、待ち受けていました。今回は、実際にプロジェクトに参加した体験から見えてきた、ビール業界のデジタル革新の可能性と課題をご紹介します。


初挑戦からのつまずき

まず、限定ビールを手に入れ、NFC付きのラベルを通してNFTミントを行う手順に沿って作業を始めました。私自身、NFC付きのラベルを通したNFTミントは初体験でした。スマートフォンをかざし、web上で指示通りに操作するだけ……のはずが、なかなか上手くいきません。

  • ウォレット接続の壁
    当初、私は普段使い慣れていたweb3ウォレット「Metamask」や「Uniswap」を使おうとしました。しかし、何度試してもなぜか認証画面でログインできない。リトライを繰り返し、ブラウザを切り替えたり、ネットワーク設定を見直したりと、手探りでの対応を続けました。それでもダメなときはダメ。こうしたデジタルサービスは、ほんの些細な条件で動かなくなることがあり、正直なところストレスを感じました。

  • ラベルの破損
    さらに不運なことに、NFCラベルを扱う際に誤って破ってしまいました。もともと注意深く扱うべきとはいえ、少しの力加減や貼り付け方次第でラベルがダメになってしまうリスクはありました。これで完全に詰んだかと思いきや、「問い合わせすれば何とかなるかもしれない」と淡い期待を抱き、サントリーの事務局に連絡することにしました。

サントリー事務局の神対応

問い合わせはメールと電話で行い、結果的にサントリー側は非常に丁寧で親切な対応をしてくれました。状況を伝えると、担当者の方は落ち着いた口調で私の声に耳を傾け、トラブル発生状況を詳しく聞き取ってくれたのです。

「ラベルを破ってしまったのですね。承知しました。新しいラベルをお送りいたします。到着しましたら、改めてお試しください。」

と、快く再送を約束してくれました。
この対応には驚くと同時に、企業としてweb3技術を導入する際には、こうしたサポート体制が欠かせないのだと感じました。技術的なハードルを超えるには、適切なアフターケアが非常に重要です。最先端テクノロジーを使うからこそ、人間的な対応がかえって顧客に安心感をもたらします。

新ウォレット「Scramberry」で再挑戦

後日、再送されたラベルが手元に届きました。

ミント用のラベル

今度は慎重に扱いながら、再度チャレンジです。前回、MetamaskやUniswapでログインできなかった教訓を生かし、今回私はウォレットを「scramberry」という別のweb3ウォレットに変えてみました。

すると、嘘のようにスムーズにログインが成功。これほどまでにウォレットによって挙動が変わるのかと驚くと同時に、web3の世界はまだ標準化が充分進んでいないことを実感しました。しかし、こうした試行錯誤は、まだ新しい技術領域では当然のことなのかもしれません。

NFTミント成功と移送まで

「Scramberry」での認証に成功すると、消費証明NFTのミント(発行)はあっさり完了しました。初めは全く進まなかった工程が、ウォレット変更一つであっけなく実現。

そして、最後にメインで使用している自分のウォレットへNFTを移送して作業は完了です。まるで、一度道を踏み外しながらも、別ルートからの登山に成功して頂上にたどり着いたような達成感がありました。

2024年12月現在、100点以上のプレモルNFTが消費者のもとに渡っています。
参考:https://opensea.io/collection/suntory-ledger

振り返りと今後への期待

今回の体験を通して感じたことは、以下の点に集約されます。

  1. 新技術にはトライ&エラーが付きまとう
    web3やNFTといった新しいテクノロジーは、まだまだ成熟途上です。接続不良や対応ウォレットの相性問題など、スムーズにいかないこともしばしばあります。

  2. 顧客サポートの重要性
    サントリー事務局が見せてくれた丁寧な対応は、技術面の問題を乗り越えるための大きな助けでした。テクノロジーがどれほど高度でも、最終的には人と人とのコミュニケーションが信頼構築の鍵を握ります。

  3. NFTは「売る」から「証明する」へ
    今回のプロジェクトが示すように、NFTはただの投機的アイテムではなく、「自分が手にしたもの」「自分が消費したもの」を証明するツールとして活用できます。これが今後、多くの分野で広まり、私たちの日常生活に溶け込んでいく可能性があります。

  4. 柔軟な切り替えが新しい価値を生む
    ダメなときは別のツールを試す、別のルートで挑戦する。この柔軟な対応が、まだ標準化されていないweb3領域においては大切です。

今回の試行錯誤とそれを支えたサントリーの対応は、web3時代の新しい顧客体験がどうあるべきかを示唆しています。消費者が新技術に触れる際に生じる戸惑いや不満は、企業側のサポートや工夫によってクリアできることを、この一件を通じて学びました。
そして、NFTは「売るためのアイテム」から「証明するための存在」へと進化しています。これが普通になれば、私たちが普段買う飲み物や食品、利用するサービスまで、ブロックチェーンによる透明性や正当性の保証が当たり前になるかもしれません。そこには、まだ見ぬ新しい付加価値と、消費者との新たな信頼関係が待っているように思います。

📚 さらに深く学びたい方へ:NFTがもたらす未来社会の展望

本記事で紹介した「プレミアムモルツ」とweb3の融合は、NFTが私たちの生活や社会をどのように変革する可能性があるのか、その一例を示しています。

しかし、これはNFTがもたらす可能性のほんの一部に過ぎません。

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特に第6章「NFTがもたらす未来の社会」では、本記事で触れた「思い出の価値」のような無形資産の取引から、日常生活における様々なデジタル証明の仕組みまで、NFTが実現する新しい社会のあり方を具体的に描いています。

web3の世界はまだ未完成であるからこそ、今後の進化に大いに期待が持てます。今回の「プレミアムモルツ」NFTプロジェクト体験は、その未来を先取りした、ちょっとした冒険のようなものでした。困難を乗り越えた先に広がる新しい可能性を、これからも楽しみに追いかけていきたいと思います。

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