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フリーランス保護法が2024年11月に施行! 施行で何が変わる?
フリーランス人口が急増する中、昨年2023年4月28日に「フリーランス保護法」が成立しました。この法律は、正式名称を「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といい、今年2024年11月1日に施行されます。
フリーランスの労働環境を改善し、公正な取引環境を整備することを目的としたこの法律です。そのため、フリーランスに業務を発注する事業者(発注事業者)に新たな義務と規制を課すものです。施行まであと1年余り、発注事業者は今から準備を始める必要があります。
本記事では、フリーランス保護法の概要と、発注事業者が取るべき具体的な対応についてお伝えします。
フリーランス人口は増加の一途!4人に1人が何らかのフリーランス
日本のフリーランス人口は年々増加しており、2022年には約1670万人に達しました。これは労働力人口の約24%に相当します。内訳を見ると、
副業系すきまワーカー: 会社員でありながら、副業でWebライターやデザイナーとして働く人
複業系パラレルワーカー: 複数の会社と契約を結び、プロジェクトマネージャーやITエンジニアとして活躍する人
自由業系フリーワーカー: 特定の勤務先を持たず、カメラマンやイラストレーターとして独立している人
自営業系独立オーナー: フリーランスとして個人事務所を構え、コンサルタントなどを行う人
といった具合です。企業にとって、フリーランスは欠かせない戦力となっています。
フリーランス保護法の概要
1. 適用範囲
特定受託事業者(フリーランス): 個人で従業員を使用しない、または法人でも代表者1人のみで従業員を使用しない事業者
※マイクロ法人の社長でも対象となります。特定業務委託事業者(発注事業者): フリーランスに業務を委託する事業者で、従業員を使用する個人事業主、または2人以上の役員がいて従業員を使用する法人
※従業員を抱えることが前提のため多くの企業や個人事業主が対象となります。
2. 主な規制内容
(1) 契約内容の明示義務
業務内容、報酬額、支払期日などを書面または電子メールで明示しなければなりません。
(2) 報酬の支払い期限
原則、成果物の受領から60日以内に報酬を支払う必要があります。
(3) 不当な取引行為の禁止
不当な報酬の減額、成果物の不当な受領拒否、不当な返品、買いたたき、物の購入強制、サービスの利用強制などが禁止されます。
(4) ハラスメント対策
セクハラ、パワハラ、マタハラ等を防止するための体制整備が必要です。
(5) 適正な募集情報の表示
フリーランス募集時の広告で的確な情報を表示することが義務付けられます。
3. 罰則
違反した発注事業者には、行政指導や勧告、公表などの措置が取られる可能性があります。命令違反や検査拒否の場合は、50万円以下の罰金が科せられます。
発注事業者が取るべき7つの対応策
1. フリーランス保護法の適用を受ける契約の洗い出し
まずは、自社のどの契約がフリーランス保護法の適用を受けるのかを特定する必要があります。対象となるのは、従業員を使用しない個人事業主や、代表者以外に役員や従業員がいない法人との業務委託契約です。法人であっても、マイクロ法人と呼ばれる社長が一人で運営している会社も含みます。
2. 契約内容の明確化
法律の施行後は、以下の事項を書面または電子メールで明示する必要があります。
業務内容
報酬額
支払期日
その他の取引条件
契約書のひな型を準備するなど、実務的な準備を進める必要があります。
3. 報酬の支払い期限の遵守
成果物の受領から60日以内に報酬を支払うルールを徹底するため、請求書の処理フローや会計システムをチェックが必要です。
4. ハラスメント対策の強化
ハラスメント防止のためのポリシー策定や、相談窓口の設置など、体制整備が求められます。最終のハラスメント事例のキャッチアップはもちろん、定期的な研修の準備と実施が必要です。
5. 募集情報の適切な表示
フリーランス募集時には、業務内容や報酬条件などの詳細な情報を明示する必要があります。曖昧な募集要項ではなく、誰が見ても条件や業務内容のイメージがつく情報提供を心がける必要があります。
6. 契約書や業務フローの見直し
既存の契約書や業務フローを見直し、法律の要件を満たすよう改訂することが求められます。契約を締結していない業務がある場合は契約書を新たに準備して締結が必要です、また、契約内容に過不足がある場合、再締結が必要です。
7. ガイドラインの参照
厚生労働省や公正取引委員会が提供するガイドラインを参照し、最新の情報を把握する必要があります。
まとめ:フリーランス保護法を見据えたアクションへ
「フリーランス保護法」は、フリーランスの保護と公正な取引環境の整備を目的としています。発注事業者には、法律の趣旨を理解し、真摯に向き合うことが求められます。
終身雇用制度が崩れつつある昨今、フリーランスの登用は必要不可欠です。自社の責務を果たしつつ、フリーランスの方々とWin-Winの関係を築いていける企業文化を醸成する必要があります。それが、これからの新たな環境を生き抜く鍵となるはずです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。