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7/13開催 Metaverse Japan Summit参加しての学び

「Metaverse Japan Summit 2023」に参加するチャンスを得て、その魅力と課題について深く考える機会を持ちました。今回はその体験を共有したいと思います。


Metaverse Japan Summit 2023

場所は渋谷のストリームホール、駅からわずか2、3分という絶好の立地にあり、4階から6階まで全フロアを貸し切ってイベントブースが展開されていました。デジタル庁や総務省や経産省も後援としてこのイベントをサポートしており、まさに国からの認められたイベントの印象でした。

1.DNPの新たなメタバース研修サービス

DNPはロールプレイング型の要素を取り入れた研修をメタバース上で提供開始しました。
https://www.dnp.co.jp/news/detail/20169553_1587.html

参加者には実際にその場にいるかのような体験を提供するようです。
このサービスの大きな魅力の一つは、アプリのインストールが不要である点です。パソコンやスマートフォンのブラウザから誰でも簡単にアクセスすることができます。

渋谷の謎解きイベントでの活用事例

渋谷で開催されたある謎解きイベントでは、この新サービスが実際に活用されました。メタバース上での謎解きイベントと、リアルの謎解きイベントが並行して行われました。驚くべきことに、オンラインからは約15,000人の人々が参加しました。その中から7%の人々、つまり約1,000人が実際にリアルな謎解きカフェに足を運び、参加費を支払ったとのことです。

しかし、この事例から浮かび上がる疑問が一つあります。それは、「オンラインでのイベントがリアルのイベントへの参加者を増やすきっかけになるのか?」という問いです。オンラインの謎解きイベントがなければ、実際にその7%、つまり約1,000人の参加者がリアルのイベントに参加していたのでしょうか?
もしかすると、これらの人々はすでに謎解きが好きで、オンラインでもリアルでも参加しただけかもしれません。つまり、オンラインでのイベントが新規の参加者を獲得する手段となるとは限らないということです。

2.Psychic VR Labのサービス評価とその価値

2つ目に紹介するサービスは、「Psychic VR Lab」が提供しているものです。このサービスはリアルとVRの融合による新たな体験を提供します。ゴーグルを通して見る実際の物に新しいデジタルデータを投影するシステムは、AR(拡張現実)の一種と言えます。

VRゴーグルを通じて、私はあるゲームのキャラクターをVR上に再現しているような体験をしました。この体験の面白い点は、VRの世界内で特定の場所に足を踏み入れることにより、現れるキャラクターが変化するというものです。また、一度キャラクターが出現すると、ユーザーは実際にその周りを歩き回ってキャラクターの後ろ姿を見ることができ、そのキャラクターとリアルに近い形で接することが可能です。

実際に銀座シックスのイベントでゲームキャラクターをVRで体験できるイベントが実施されました。集客数も数百人規模とのことで、ゲームコミュニティやファンの存在が集客のきっかけになることを示しています。


さらに、このサービスは地方創生の文脈で考えると、VRゴーグルを通じた体験が地方に訪れる人々に対して新たな価値を提供する可能性があります。一方で、法人向けのVRゴーグルは約20万円と高価であり、一般の人々が持つ時代はまだ来ないと考えられます。しかし、百貨店や地方観光地でのレンタルモデルを通じて、体験のきっかけ作りをするという観点からは、Psychic VR Labのサービスは非常に面白いと言えます。

メタバースの特性を活かすためには、既にファンがいる、あるいはコミュニティがあるという前提が重要かもしれません。これらの基盤がある上で、リアルとオンラインの相互作用を活かすことで、メタバースでのイベントは新たな価値を生む可能性があります。

3.αUマーケットのサービスとメタバース

3つ目に紹介するサービスは、KDDIの手がけるαUマーケットす。このサービスは、すでにNFTのプラットフォームを提供しており、現在ではそれをメタバースに応用する形でサービスを展開しています。

私が体験したのは、スマホを通じて渋谷を再現したメタバースを散策するというものでした。しかし、アプリが重く、スマホが熱を持つという問題があり、1時間もしないうちに電池が切れる可能性があるという課題が見受けられました。また、現状では数千人レベルの利用者しかいないという点も、まだ一般的なユーザーには浸透していないという状況を示しています。

それにもかかわらず、KDDIはAR技術を活用して現地に人々を集める取り組みを行っており、地方創生の観点から見ると、一定の可能性があります。

ただし、αUが提供するマーケットプレイスについては、普及するのかどうかはまだ不明です。ここではNFTを購入できるだけでなく、自分の部屋を実装したり、部屋にNFTを飾ったり、自分のスニーカーをNFTで購入することも可能です。しかし、このマーケットプレイスは独自のものであり、他のプラットフォームとは取引できません。これが一般のユーザーを惹きつけるのは難しいかもしれません。

また、現在NFT市場自体がまだ小さいため、このマーケットプレイスがさらに小さくなってしまう可能性もあります。今後、パブリックチェーンであるEthereumやPolygon Networkに繋がらない限り、このマーケットプレイスは厳しい状況に直面するかもしれません。

これらの評価を踏まえて、メタバースとNFTを組み合わせた新たな取り組みがいかに市場を広げ、一般のユーザーを惹きつけるかを見守る必要があるでしょう。

まとめ: メタバースとNFTの未来

メタバースとNFTは、新たな体験、新たな価値、新たな経済活動の創出を可能にします。しかし、その実現には技術的な進歩だけでなく、法的な規制や社会的な理解の進展が必要です。これらの課題を乗り越え、新しい可能性を探求し続けることで、メタバースとNFT市場はさらなる発展を遂げるでしょう。それこそが、私が「Metaverse Japan Summit 2023」から得た最も重要な教訓であり、私たちが向かうべき未来の方向性だと感じています。

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