2024年、日本の農業が直面した一大危機とは? 過去最多の農業倒産件数に隠された真実
2024年は、日本の農業セクターにとって厳しい年となりました。
東京商工リサーチの調査によると、2024年に倒産した農業関連企業は87件に達し、過去最多を記録しました。
これは、コロナ禍で年間最多となった2020年の80件を上回る数字であり、日本の農業が抱える深刻な課題が改めて浮き彫りになったと言えます。
今回は、その背景や持続可能な未来を築くためにできることを解説していきます!
2024年の農業倒産、その衝撃的な数字の裏側
倒産件数が過去最多に!その背景とは?
2024年の農業倒産件数は87件と、前年に比べて12.9%増加しました。
この増加率は、一見すると一時的な経済の変動に見えるかもしれませんが、実際には農業経営を取り巻く構造的な問題が深刻化していることを示しています。
倒産企業の負債総額は192億6,000万円に達し、前年の約1.5倍に増加しました。特に、負債10億円以上の大型倒産が7件と前年の倍以上に増えており、大規模な農業経営体でも経営の持続が困難になっている現状が浮き彫りになっています。
業種別で見る農業倒産の実態
耕種農業が最多!野菜作ときのこ生産の危機
耕種農業※が58件と全体の66.6%を占めています。
※田畑を耕して作物を栽培する農業形態で、米や野菜、果物、花など、さまざまな植物を育てる業種の総称。
特に、野菜作農業が36件で最多となっており、中でもきのこ生産業者の倒産が13件に達しています。温度や湿度の管理にかかる燃料費の高騰が、収益を圧迫し続けています。
畜産農業も厳しい状況に
畜産農業では25件の倒産が発生しました。
ロシアのウクライナ侵攻や円安による輸入飼料価格の高騰はもちろん、電気代や人件費など急激なコスト高に対し、乳価の引き上げ幅が追い付いていません。このまま経営を続けると、赤字幅が拡大してしまうため廃業せざるを得ない状況です。また、2024年秋には鳥インフルエンザの影響が深刻化し、養鶏業を中心に経営が厳しくなりました。
農業倒産の主な原因とは?
やはり、飼料や肥料といった資材費や燃料費の高騰が農業経営を逼迫しています。特に、輸入に頼る生産資材の価格上昇は、国内農家の利益を圧迫する大きな要因となっています。
また、コロナ禍後の外食産業の回復に伴い、一部では需要が回復しているものの、家庭消費の減少や輸入農産物との競争激化により、農産物の単価が上昇しにくい状況が続いています。
さらに、留まることのない異常気象による収量減少や施設損壊、さらには鳥インフルエンザなどの疫病の発生が、農業経営に大きなダメージを与えています。
地域別に見る倒産の傾向
九州地方では18件の倒産が発生し、全体の約2割を占めています。温暖な気候を活かした野菜・果物の生産や畜産が盛んな一方で、台風や豪雨被害、鳥インフルエンザの影響が深刻です。
また、北海道と島根県では各6件の倒産が発生しており、長野県では倒産5件全てがきのこ生産業者となっています。地域特有の作物や農業形態が倒産リスクに影響を与えています。
今後の展望と必要な対策
燃料費や飼料費の高騰、自然災害リスクが依然として高く、2025年以降も農業経営は厳しい状況が続くと予想されます。しかし、農業の社会的価値は高く、食の安全保障や地域活性化において重要な役割を担っています。
持続可能な農業を実現するためには、以下のような対策が急務です。
1. エネルギーコストの削減
再生可能エネルギーの導入や省エネ技術の開発支援を通じて、燃料費の削減を図る必要があります。
2. 経営効率化と技術革新
デジタル技術やスマート農業の導入により、生産管理や在庫管理の効率化を進め、経営の安定化を目指します。
3. 付加価値の向上と地域ブランド化
高品質な農産物の生産や6次産業化(加工・販売の一貫化)を推進し、収益力の向上を図るとともに、地域ブランドの育成を進めます。
まとめ:農業の未来を守るために私たちにできること
2024年の農業倒産増加は、日本の農業が抱える構造的な問題を明確に示しています。しかし、これを乗り越えるためのチャンスでもあります。政策支援の強化や技術革新、地域の連携を通じて、持続可能な農業を実現するための取り組みが求められています。
我々、消費者も、地元産の農産物を選ぶなど、農業を支える行動を取ることで、農家の経営安定化に貢献できます。農業は私たちの食卓を支える重要な産業です。共に農業の未来を守り、豊かな食文化を次世代へと引き継いでいくアクションが重要です。
農業の常識を超越するをキーワードに活動するコミュニティ「Metagri研究所」では、web3や生成AI、メタバースと言った新技術を活用し、農業の持続可能性を追求しています。最新の技術を取り入れることで、農業経営の安定化や新たなビジネスモデルの構築に貢献します。
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未来の農業を共に創造し、持続可能な食文化を次世代へと引き継いでいきましょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。