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田舎のデイ起業セラピストが考える「はじめてのデイサービス運営からみえてきた自主トレーニングの薦め方」

本日も臨床BATONにお越し頂きありがとうございます。
256日目を担当させて頂くのは、療法士の供給過多により療法士の介護士化というものをポジティブに捉え、デイサービスの療法士免許を持った介護士って伸びしろだらけなんじゃ無いかと夜な夜な考え、さらに今から介護士に一歩踏み出せば、最強の介護士になれるのでは無いかと感じている田舎のデイ起業セラピストことPT貴田農士です。
(最強、最高のセラピストはライバル多過ぎ、天井高すぎだけど、介護士ならまだ最強目指せるかもよ・・・)

前置きはその程度にして、早速ですが、今回は「はじめての○○」シリーズ第6弾。
「はじめてのデイサービス運営からみえてきた自主トレーニングの薦め方」という、初めてシリーズに無理矢理ねじ込んだ感が否めないテーマになっています。
私が回復期で13年間、老健で1年間、そして今のデイサービスを経験してきた中で感じてきた、行ってきた自主トレーニングの考え方について投稿させて頂きます。


・はじめに

まず、自主トレーニングを利用者さんに薦める前に、私が絶対考えていること、お伝えしたいことがあります。

それは、自分自身が自主トレーニングをしているのかということです。

みなさんは、毎日、または習慣的に自主トレーニングをしていますか?

ここでいう自主トレーニングは、筋トレでもいいですし勉強(文献や参考書を読む)などの自己研鑽でもいいです。

そして、実施している方は、なぜそれを実施できているのでしょうか?

目標があるからでしょうか?

それとも、報酬があるのでしょうか?(内的報酬とか外的報酬とかの話は今回しません)

どちらにせよ、実施することに対する難しさは感じたことはありませんか?

意欲が低下してしまったことはありませんか?

また、環境が変わって、出来なくなってしまったこともありませんか?

色々お聞きしましたが、上記のことは私も実際経験しています。

そして、実際今もなお、自主トレをしている方は、
習慣化するまでには2ヶ月掛かるとか、
意欲、モチベーションに依存しないためにはとか、
行動せざるおえない環境に身を置き続けるとか、
週何回とかではなく毎日やる、毎日やれるものをやる
などを聞いたり、考えたりしたこともあると思います。

話が少し飛びましたが、
要するに初めに私がお伝えしたいことは自主トレーニングを行う、継続すること自体かなりハードルが高いということです。

そして、この自主トレーニング(自己研鑽)をしていないだろうセラピストが利用者さんに対して「あの人全然自主トレしない、やる気が無い」とか言っている姿を私は15年間の経験の中でそれなりに見てきましたので、この機会に改めて毒を吐かせて頂きました。
(あしからず・・・)


・自主トレーニングをグレーディングしてみた

ということで毒抜きは終わったので、本題に入っていきます。

まず、私は自主トレをグレーディング、段階付けしてみました。

一番上位ランクは、「1つ2つ程度の自主トレで本人自身が最も効果を実感できるもの」です。

これ、理想ですよね。

理想なんですが、これを提案できるようになるには相当な知識や技術、そして、相手に対する理解やラポールも必要になると思います。

話があっちゃこっちゃいきそうなので、あまり広げるつもりはないですが、端的に言うと、ラポール形成、目標設定、目標共有、共有意思決定(SDM)などを経ている前提で、利用者さん自身が効果を実感できる、満足できる、楽しい、ADLにつながると思えるトレーニングを提案出来るかということです。
(いやー、難しい。頑張ろう私、心を燃やせ私)

続いては、「1つ程度の自主トレでセラピスト自身が効果を実感できるもの」です。

こちらは、利用者さんにはあまり効果を実感できないけど、セラピストが効果判定して確実に効果があったと言えるものです。

こちらもラポール形成なども必須になりますが、基本的には利用者さん自身が即時的な効果を実感できていないレベルなので、その変化を伝える工夫も必要かもしれません。(前後で動画を残して、見ることで変化を感じてもらうとかもそのひとつです)

また、ご本人が変化を実感するまでには、継続性が必要で時間がかかるかもしれないので、反復していただくための工夫も考えないといけません。


そして、一番下位ランク「一般的に効果がある言われているもの(エビデンスが高い、または悪くなるリスクが極めて少ない)」です。

こちらはその名の通りです。

論文やら参考書やらで効果が検証、実証されているもので、良くなるというのもあるが、悪くならないもの、維持できるものも含まれると思います。

実際、私は老健、デイサービスを経験して、生活期においては維持することの難しさも感じています。

また、高齢者は健康な方ですら、ただいつもの生活をしているだけでも筋力や体力が落ちていくと言われています。
(実際、私も37歳にして20代と比べ、筋力、体力が落ちてきたたと感じずにはいられません)

つまり、一般的に良いと言われるものを提案することも悪いことではありません。

ただ、こちらは更に自主トレーニングとして継続する難しさも出てくると思うので、色々工夫が必要です。

つまり、上位ランクになれば、継続する工夫は少なくて済むかもしれませんが、下位ランクになると継続する工夫がたくさん必要になってくるかもしれません。

そして、全てにおいて共通しているのは、自主トレーニングの数は1つ、2つ程度ということ、必ずしも理想的、上位ランクな自主トレーニングを提案しても、実施していただけるかはこの段階では言いがたいということです。


・デイサービスにおける自主トレーニングを薦める工夫

そのため、提案した自主トレーニングの薦め方の工夫について話を進めていきたいと思います。

前述した、一番上位ランクの提案が出来れば、この辺はあまり考えないでも良いかもです。
でもセラピスト全員がそんなドストライクな提案が出来るわけでもないです。実際私もこの辺に関しては、難しさしか感じていないですし。

なので、私みたいな凡人は自主トレーニングをどう簡単にやっていただくかを考える必要があります。

まず、ひとつは集団を利用するということです。
いわゆる集団心理です。
周囲がやっているから私もやろうと思ってもらえるかということです。
実際私の施設の利用者さんも「ここに来ている人たちはみんな頑張っているから俺も頑張らないとと思える」とか「ここに来ると元気もらえる。頑張ろうと思える」などの言葉を頂いています。

自主トレを行う集団の中に身を投じてもらう。
これはその場所にいれば、効果を発揮できます。

続いて、環境です。
上記の集団も環境要因ですが、今回のこの環境という意味は、設備に近いです。
つまり、自主トレをしやすい設備、環境を整えるということです。

手の届く範囲に自主トレ用の道具を置いておく。

目の届く範囲に自主トレ用の機械を置いておく。
張り紙や動画、音声などを使って、五感に刺激を入れて自主トレ(必要性含め)を促すなどです。

ちなみに上記の環境の工夫は全て、私の施設では実施しています。
テーブルの上にはボールや筒、タオルやペットボトルを入れた箱を点在して置いておき、張り紙もしてあり、自転車エルゴメーターやレッグプレス、平行棒は食堂から見えています。そして、それらの使用は基本的にはフリーで使えるようにしています。(装着、手伝いが必要な方は適宜介護士さんに介助してもらっています)

次は、導入障壁を下げるということです。

これは、以前も集団体操の時にお話ししたことがあるかもしれませんが、やったことがあるという事実を作っておくことです。

人はやったことがある体操、運動に対してハードルが低くなります。

実際、先日うちの施設のテレビでラジオ体操が流れていたら、つられてやる方がいました。
やはり、「やったことがある」は強いです。

だから、なるべくやったことがある、毎回映像などを流して親近感、身近さを作っておくこと、やる習慣がある(あった)ものに近づける工夫は効果的だと思います。

ただ、上記は全て、デイや病院などの施設に特化しやすい工夫、薦め方かもしれません。


そのため、自宅で継続するには、という考えが必要になります。
そこで、最後に自宅で継続していただくための工夫をお伝えします。

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