無料コラム〜患者様との思い出〜
臨床BATONにお越しいただきありがとうございます!
第418日目を担当する、理学療法士のシミーです!
今回は無料コラムです。テーマは『患者様との思い出』です!
セラピストの皆さんは今でも思い出す患者様との思い出はありますでしょうか?
私は臨床12年目を迎え、関わることのできた患者様もたくさんいらっしゃいます。全ての方を思い出すことは難しいのですが、自身の臨床を振り返って思い出されるのは、外来リハビリに異動となった際に受け持った患者様のことです。
脳血管疾患にて長年、当院の外来リハビリに通院されている方を引き継いだときに、患者様の歩行をどうにかしようと想い関わっていました。
必要以上に生活のことや身体のことに対して踏み込んだ話や改善に向けた取り組みの話をしていたのですが、そのような関わり方を患者様は望んでおられませんでした。患者様は歩容の改善を目的としているわけではなく、病院まで来てマッサージと運動をして顔見知りの方々と楽しく話をするという時間を大切にされていました。
私はそのことに気づかずに自身の思い込み(歩容を改善するという目的)で関わっていたため患者様にとってストレスとなっていました(それにも気づいていませんでした)。
それが続いていくと、リハビリ中に話をしていると「もうええ!!」と強い口調で拒否をされてしまい、会話すらすることができなくなりました。
リハビリには来られるのですが、会話は成り立たず、目も合わない状態となってしまったのです。
そこで初めて自分の関わり方が患者様のことを考えていないということに気づきました。
自分は患者様のことを考えているつもりになっていただけで、実際にはストレスを与えていたのです。
それ以降は、患者様の望んでいる内容に則してリハビリを実施する方向へ変更し、徐々に会話もしていただけるようになりました。
今回の私の経験は、リハビリテーションは患者様を中心として進めていくことであり、決してセラピスト主体で進めていくものではないということに気づきました。
必要かどうかわからないマッサージや運動を望まれていたとしてもそれを真っ向から否定してしまうことは患者様との信頼関係を崩壊させてしまうことになります。
また、患者様の意向を聞くこともなく勝手に進めることも、信頼関係が構築されません。
新しいアプローチをするにしても、信頼関係が構築されていないと適切な結果につながりにくいです。
(結果を出して信頼関係を構築していくという流れもあります)
この出来事が起こるまで(臨床4年目)、私の臨床はセラピスト主体になっていたと思います。
症状とばかり向き合い、本質的に患者様と向き合うことができていなかった証拠です。
思い返すと苦い思い出ですが、私の臨床の中で忘れられない患者様との思い出であり、セラピストとしての在り方に気づくことができたエピソードになります。
皆さんはどのような出会いがあったでしょうか?
思い返してみることであの時の自分が気づくことができなかった大切なことに気づけるかもしれません。
苦い経験を思い返すことは勇気が入りますが、一歩踏み込んでみると自身の成長につながります!
本日も最後までご覧いただきありがとうございます!
次回の更新は6月29日(木)です!
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