結城りなのことを大好きになった日①【起】 (2024.10.7 #SASUKEアイドル予選会 現地観戦記)
(以下の文中、グループ名・メンバー名については、全て敬称略で失礼します)
■ヤバい、SASUKEってガチじゃん
第1種目「ビーチフラッグス」決勝。
結城りな(ukka)と大信田美月(≒JOY)が、スタートゾーンでうつ伏せになり、スタートのホイッスルを待つ。ここまで2回戦を勝ち上がってきた2人の姿に、会場の空気は一変した。およそ千人ほどの観客が静まり返り、じっと視線を注ぐ。
5秒後――。
結城りなが小旗を手に取って笑顔でカメラの横を駆け抜けた。その瞬間がモニタに映し出されると、心の中で「これはただのぬるいアイドルバラエティじゃない」と改めて実感した。
会場は一気に沸き立ち、応援席も歓喜の渦に包まれた。
私も思わず立ち上がり、周りの仲間たちとハイタッチを繰り返した。
場内モニタにはスロー再生で、タッチの差でフラグを掴む瞬間の結城りなの姿が映し出されている。
満面の笑みを浮かべ、まるでこの瞬間が心から楽しいと伝わってくるような表情。見ているこちらまで嬉しくなる、最高の笑顔だった。
「いきなり1位!すげえ!」
仲間たちと声を上げる中、私たちの熱狂ぶりが、他の応援エリアとは一線を画していることを感じた。ともすれば”ヤカラ”に見えるかもしれない、そんな異様な光景に、テレビカメラが2台も向けられていた。少し恥ずかしくもあったが、それ以上に、結城りなの活躍が多くの人に伝わる喜びが勝っていた。
※この記事を公開した時点(12月12日)では、取り上げている「SASUKEアイドル予選会」のYouTube公開はまだ全編に至っていません。
現在公開されているうち第1回(全6回予定)までの現地観戦記を、ひとまず【起】としてお届けします。
今後、YouTubeでの公開が進み次第、承・転・結と改めて公開する予定です。
■SASUKEってなんですのん?
「こんな朝っぱらから、なんやねん?」
2024年9月11日午前6時。
アラームが鳴るまでにはまだ十分に寝られる時間帯に、スマートフォンが震えた。
反射的に目を開けて画面を見ると、ukka公式Xの通知が目に飛び込んできた。そこには「SASUKEアイドル予選会 ukka 出場決定!」の文字が。
寝ぼけまなこをこすりながら詳細を確認すると、今年から初めてアイドルの出場枠が設けられたらしく、その日の夜8時に予選出場者がukkaの中から誰かひとり、SASUKE公式YouTubeで発表されるとのことだった。
社会人アイドルオタクの12月は忙しい。
気ぜわしく過ぎていく日常の中、ここぞとばかりに総決算として押し込まれる現場をあれこれ渡り歩いているうちに、気づけばあっという間に年末を迎えている。これが毎年の恒例だ。
「TVerで見ればいいや」と思いつつ、結局見ないままの年末特番。その中に「そういえばSASUKEもやっていたよな」と思い出す程度の番組だった。
少なくとも、この時点では。
X上では早速、「ukkaから誰が出場するんだろう?」「まあ、運動神経でいうと結城りなだよなあ」といったのんびりした予想が飛び交っていた。
確かに、ukkaの中で運動神経が良いメンバーといえば、真っ先に結城りなの名前が思い浮かぶ。
私も、なんとなく彼女が出場するのだろうと思っていた。
そして夜8時。YouTubeのSASUKE公式チャンネルの配信で、大方の予想通り、ukkaからは結城りなが出場するとアナウンスされた。
同じスターダストプロモーションからは、風見和香(私立恵比寿中学)、辻野かなみ(超ときめき♡宣伝部)。
48グループの面々に、ふるっぱー擁するKAWAII LAB軍団、ノイミーイコジョイと、総勢12グループが予選を戦うとのことだった。
▫️キャッチフレーズは「24時間笑顔無料配布中」
結城りながオーディションを経てukkaに加入したのは2021年9月のこと。初めてライブでパフォーマンスを披露したのは同年11月だった。
私にとっての結城りなは、しばらくの間「新メンバー」だった。
特典会でたまに話したり、彼女が配信するラジオに投稿したりはしていたものの、その距離感はあくまで「(グループの一員として)頑張ってほしい」という応援程度のもので、熱烈なファンと呼ぶにはほど遠かった。
それでも、彼女の屈託のない笑顔、ときに感情をダイレクトに揺さぶる歌声、そしてどこの事務所にも所属していなかった状態からオーディションを経てukkaに加入したというシンデレラストーリー。
その全てが、いつかアイドルとしての「正解」に帰結するんだろうなと感じていた。
結城りなと葵るりの初ライブからちょうど一年が経ったタイミングで、ukkaは念願のメジャーデビューを果たした。
そのメジャーデビューEPのリリースイベント。
あいにくの雨に見舞われたアリオ橋本の野外スペースで、結城りながこんなことを言っていた。
「雨の日は傘もささずに外を走りたくなる」
「ね? みんなの中にもいるよね?」
問いかけに対して、手を挙げたのは私一人だけだった。
《そりゃそうでしょ》という顔の他の5人と対照的に、納得がいかない様子の結城りな。
いや、そうだよ。雨が落ちてくる前に素早く走れば、雨に打たれないじゃん。心の中で、なぜか結城りなを代弁していた。
そんな小学生のようなことを言っていた21歳が、大舞台で、果たしてどのくらいまでやれるのかな?
▫️柏って平日仕事終わりに行くにはちょっと遠いよね
迎えた予選当日、10月7日。
仕事を早めに切り上げて、会場の柏の体育館へと向かった。
熱量の高いガチ勢たちは、昼過ぎからもう会場の体育館付近をうろうろしているということは、Xでなんとなく把握していた。
「近くにコンビニないらしい」「駅から歩くと予想していた以上に時間かかるわ」「近くでメガホン売ってないか探してきます」そんなポストが行き交っていた。
現地観戦チケットは、当初は先着販売の予定だったが、SNSでの大きな反響を受けて抽選販売に変更となった。
幸いなことに、抽選チケットは当選した。
オフィスからは地下鉄を乗り継ぎ、つくばエクスプレス、さらに北千住でJRに乗り換え…と、おおよそ1時間の道のりだった。
案の定、夕方の帰宅ラッシュに巻き込まれ、ずっと立ちっぱなし。
文句の一つも言いたくなるが、趣味や道楽のために移動しているのだから、世間一般から見れば贅沢な悩みだ。ぐっと堪えて、スマホをいじりながら時間を潰す。
柏駅で、ちょうど同じくらいの時間帯に着いた仲間とタクシーに相乗りして会場へ向かう。
タクシーに乗り込み、しばらく走ると、目的地である体育館が見えてきた。縁もゆかりもない土地の体育館。既に観客は入場しているからか、周囲は思いのほか静かだった。テレビ番組の収録ということもあり、ライブのような派手な看板が出ているわけでもない。殺風景な外観に少し拍子抜けした。
既に外は真っ暗だった。10月とはいえ、日が暮れるのは早い。辺りの暗さが、これから始まるイベントへの期待と少しの不安を掻き立てるようだった。
体育館に入ると、想像していたような熱気はまだなく、それぞれのアイドルの応援席がなんとなくぼんやりと形成されているだけだった。
中央には、競技で使用するセットがいくつか設置されている。 「あれがSASUKE名物のそり立つ壁か…」と、ニワカでも知っているアトラクションの実物を見る感動を噛み締める。
事前に「このあたりに固まっているよ」とぼんやり聞いていた結城りなゾーンへと向かう。
既に何人か席についていると聞いていたが、赤いTシャツを着た、いくつかの見知った顔が見える。
■赤いTシャツ
結城りなの出場が決まった直後、知り合いのオタク仲間が「当日用にTシャツを作ろう!」と提案しているポストが目に飛び込んできた。
本番までの期間は驚くほど短く、準備は慌ただしく進んだ。
その限られた時間の中で、爆速でDMグループを作ってとりまとめてTシャツを注文したのは、熱量の高い少人数のオタクたちだった。
やり取りを重ねるうちに、彼らの情熱に引き込まれ、「せっかくだから一緒に楽しもう」と思えるようになった。
そして、いつの間にか、推しの結城りなを応援するだけでなく、その結城りな推しである彼ら自身を応援するような気持ちにもなっていた。
短期間の準備ではあったけれど、その過程で生まれた結束感が心地よく、観戦当日をその仲間たちと迎えるのが本当に楽しみになった。
Tシャツを受け取り、最上段に陣取った。すでにゆとりを持ったつもりで用意した30着は、すべてこの一角のオタクの誰かには行き渡ったという。
赤い服を着ると、一気に戦闘の感情が湧き起こるのが面白い。
他のオタクに比べると人数はまだ少ないかもしれないけれど、声出していこうぜー。カープの応援グッズのミニメガホンまで渡されて、始まる前からすでに応援席は”ヤカラ”の風体を宿していた。
スタンドから目を落とすと、でもそこには何の変哲もない体育館の床。
向こう側には、放送席として設置された長机とパイプ椅子が見える。
簡素なセッティングだが、これから始まるSASUKEアイドル予選への期待感が高まっていくのを感じた。
■とりあえず走れ!!!!
ほどなくして、司会進行のアナウンサー(TBS)が話し始めた。
解説者席に座るSASUKEの名物選手の紹介、今回がアイドル予選会初の試みであること、そしてややありきたりな観客への声援の煽り。
これからどんなテンションでどんなことが起こるのか、まだ少し掴みづらい雰囲気の中、選手紹介が始まった。
トップは、グループ名の五十音順で、ukka/結城りなだった。
登場曲も何か話しているコメントも、全く聞こえない。
お前ら、うるせーよ(笑)。
※後からYouTubeを見て、場内に『Rising Dream』が流れていたということを知りました。
出場選手の紹介は続く。
思い思いのスタイルで盛り上がる応援席。
それぞれのグループの色が出ていて面白い。
6人め、SWEET STEADYの白石まゆみが、自分の応援席ゾーンとは離れている我々の方に爆レスを送ってくる。
メンバーカラーの赤に染まった一角を、自分のファンだと勘違いしたようだった。
かわいい、今度会いに行ってみよう。
そんな風に、思いのほか和やかな空気で競技が始まった。
最初の種目「ビーチフラッグス」は、25メートル先のフラグを取るというシンプルなダッシュ力を競うものだった。
選手紹介で、バク宙を披露したり、マラソン記録が紹介されたり、と運動神経抜群と自負するアイドルたちが集まる中、比較的小柄な結城りなは一体どこまでやれるのか…。
この段階では、正直、少し不安だった。
しかし、そんな不安は杞憂に終わった。
第1種目で、結城りなが全12選手のトップ30ptsを確保したという掲示を見て、改めて応援席は大盛り上がり。
「おいおい、このままぶっちぎっちゃうんじゃないの?」
そんな軽口も飛び交う。
すでに序盤にして、ライブ会場でのアンコール並みの盛り上がりを見せる応援席だった。
(【承】へ続きます)