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半側空間無視[病巣はどこ?]

お疲れ様です。はらリハです。

本日は…
半側空間無視:病巣」について解説します。

※ 引用、参考書籍

臨床的に半側空間無視が多い病巣

 臨床的に多く見られる病巣は「中大脳動脈領域」とされていますが、半側空間無視の病巣は多様で「側頭葉−頭頂接合部付近」「前頭葉」「側頭葉」「視床」「内包後脚」「基底核」など、さまざまな部位が報告されています。

 つまり、右大脳半球の損傷のほとんどは半側空間無視が生じる、生じている可能性があることが分かります。

 そこを踏まえて、評価、治療を展開したいですね。

1)側頭葉−頭頂接合部付近

 半側空間無視の報告でもっとも多い病巣が「側頭-頭頂接合部付近」です。

 この部位においては「下頭頂小葉(角回/縁上回)」が重要とされています。

解剖学的に見た空間性注意の神経ネットワークと半側空間無視を起こす病巣
 下頭頂小葉と下前頭回後部は「上縦束(Ⅱ、Ⅲ)」で結ばれ、
☑︎ 内包後脚は視床と下頭頂小葉と連絡する繊維
☑︎ 内包前脚は視床と前頭葉の帯状回とを連携する繊維
 も含まれている。
 下頭頂小葉または前頭葉の皮質、皮質下病巣は「上縦束or視床」の連絡繊維も損傷する。
→ そのため「空間性注意のネットワーク」の広範囲な機能低下により、半側空間無視が慢性化しやすい。

「高次脳機能障害学(石合)」より

中大脳動脈領域の脳梗塞によって半側空間無視が起こる場合の責任病巣は下頭頂小葉のうち各回であることを改めて示した

Mortらの報告

2)前頭葉

 頭頂葉に加えて「前頭葉」も半側空間無視は重く、重症化しやすいです。

 一方で、前頭葉のみ損傷した場合でも半側空間無視が起きますが、下頭頂小葉が病巣より個人差が多く、程度も低いことが多いです。

 前頭葉における部位としては「背外側面後部の下方とその深部」が比較的広く損傷された場合が多いと報告があります。

3)視床、基底核

 梗塞、出血どちらでも半側空間無視の原因になりますが、視床出血の方が半側空間無視が見られることが多いと報告があります。

 視床の中でも「視床枕(図1のD)」と無視発現の関係が指摘され、石合らも後大脳動脈領域梗塞で同部位が穿通枝病巣として含まれた場合に無視が生じやすいと報告しています。

 加えて「基底核」「被殻(尾状核)」も関与していると報告されています。

4)側頭葉

 異論がありますが、半側空間無視の病巣として「上側頭回」が報告されています。

 また、後大脳動脈領域の脳梗塞でも半側空間無視が起こる場合に、側頭葉内側部の「海馬傍回」が病巣に含まれることが重要であると報告されています。

5)前脈絡叢動脈領域梗塞(皮質下白質)

 古典的に半側空間無視が起こりやすい病巣として「内包後脚」「外側膝状体」「視放線起始部」を損傷する「前脈絡叢動脈領域梗塞」があります。

 深部病巣による半側空間無視の発現には、頭頂葉、前頭葉との密接な神経繊維連絡の損傷による皮質機能の障害、または、被殻、視床枕、上側頭回からなるネットワークの障害が関与していると報告があります。

慢性期に半側空間無視を残す病巣

慢性期に半側空間無視を残す病巣の報告
☑︎ 頭頂葉と前頭葉を連絡する神経繊維の束である「上縦束」
☑︎ 下頭頂小葉のうち角回よりも「縁上回」

Doricchi
Tomaiuolo

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