ぶん回し歩行を読み解く『腸腰筋と多裂筋が重要』
お疲れ様です。はらリハです。
本日は…
『ぶん回し歩行と腸腰筋と多裂筋』について説明します。
ぶん回し歩行とは?
ぶん回し歩行とは…
「麻痺側の股関節を外側に広げて、足で床に縁を描くように足を降り出す」
を専門的に「ぶん回し歩行」と呼びます。
ぶんまわし歩行で起きる障害
大きく分けて2つの問題があります。
① 歩行の効率性と速度の低下
② 二次的合併症の出現
この2つが起きます。
① 歩行の効率性と速度の低下
1つが『歩行の効率性と速度の低下』です。
単純に考えて、真っ直ぐ振り出すほうが、外側から回すより楽なので、必要なエネルギーも少なくなり、疲れにくいです。
また、振り出してから、支えてるときに、振り子の原理と呼ばれる、筋活動を極力使わずに、効率的に降り出すことを阻害する為、疲れやすいに加えて、歩行速度も下がります。
つまり、ぶん回し歩行では…
☑︎ 疲れやすい
☑︎ 歩くスピードが遅くなる
が、起きます。
② 二次的合併症の出現
2つ目が『二次的合併症の出現』です。
ぶん回し歩行は本来の身体の使い方ではないので、過度に頑張っている筋肉が出現します。
その為、腰痛や膝痛など、負担の掛かる筋肉や関節には、痛みが出現する可能性があります。
また、歩行の安定性の低下を招くため、転倒リスクの増加から、骨折などの怪我が起きる可能性が高まります
これらを踏まえて…
人によって、ぶんまわし歩行が原因で起きる症状や、日常生活での不便さは様々ですが、この方法で歩行を続けると、上記のような二次的合併症、機能低下、歩行障害の要因になります。
では、何故、ぶんまわしを覚えてしまうのでしょうか??
実は、入院中のリハビリが問題かも知れません…
脳卒中後遺症の根本的な問題とは??
私の施設を利用させる方の多くは「原因は筋肉にある」と話す方が多いです。
たしかに、手足の力が弱かったり、力が入りにくいのを感じるのは、筋肉だと思います。
ただ、それだと筋肉トレーニングさえすれば、良くなるはずです。
しかし、それだけやっても脳卒中後遺症の問題は解決しません。
なぜなら、問題は筋肉にあるのではなく…
『脳』
にあるからです。
もっと細かく言うと…
脳と手足の運動神経の通り道に問題が起きることで手足の力が弱くなったり、力が入りづらくなるのです。
これを専門的には『運動麻痺』と呼びます。
運動麻痺とは?
まずは、「運動」と「麻痺」という言葉を分けて考えてみましょう。
運動とは…
「筋肉を収縮させ関節を動かすこと」
麻痺とは…
「本来の動きや働きがなくなること」
を言います。
これを繋げると…
「筋肉の収縮が本来の動きと働きが出来ないことで関節運動が行えない」
これが運動麻痺の本質です。
自分の筋肉が収縮し関節が動くかどうかを確認することで、運動麻痺が問題なのか、または別の問題なのか、が明確になります。
まとめると…
運動麻痺とは
「筋肉の収縮が本来の動きと働きが出来ない事で関節運動が行えない」
状態を言い
自分が運動麻痺なのかを判断するには
「筋肉が収縮しているかどうか」
を確認する必要があります。
そこを踏まえて、なぜ、ぶんまわしが起きるのかを考えます。
入院中に本来の脚の使い方を指導されていない
先程、説明した通り、根本的な問題は脳にあります。
脳から「脚を降り出す」と指令を脚に送り、その指令を脚の筋肉が受け取ることで、歩けます。
しかし、脳卒中後遺症の「運動麻痺」の影響で、思うように動かせなくなります。
それを、他の筋肉などで代償する結果、ぶん回し歩行が起きます
前回までの記事では…
☑︎ 腸肋筋
☑︎ 腰方形筋
☑︎ 広背筋下部繊維
これらの3パターンが多いです。
では、なぜ運動麻痺により、この代償パターンが出現するのか、運動学的な視点から読み解いていきましょう。
これらの代償は2つの筋肉の筋緊張が低下することで起こる
ここまではぶん回し方向の3パターンを説明しましたが、そもそも、なぜそのような代償パターンが出現するのでしょうか?
ご存知かも知れませんが、脳卒中後遺症により出現する症状に「運動麻痺」というものがあります。
※ 詳しくはこちらをご参照下さい。
運動麻痺は、簡単に言うと『使いたい筋肉に命令を送れない状態』を言います。
ぶん回し歩行は、脳から足を降り出す時に必要な筋肉に命令を送ることが出来ないことで出現します。
その筋肉が…
と呼ばれる筋肉です。
どちらもリハビリをした方が良いですが、ぶん回し歩行のパターンが分かれば、そこを中心にリハビリを行えば、より早い段階で効果が出ると思います。
次に、この腸腰筋と多裂筋の運動麻痺に伴う見分け方を説明します。
腸腰筋の筋緊張が低下している方の見分け方
腸腰筋の筋緊張が低下していると…
歩行の時に、麻痺側で支える段階では股関節は伸ばす方向に働き、麻痺側を一歩前に出す段階では、股関節を伸ばす反応から曲げる反応に切り替えます。
その時、股関節を伸ばす反応にブレーキをかけて、曲げる方向に股関節を動かす筋肉が「腸腰筋」です。
しかし、腸腰筋に運動麻痺が生じると、股関節を伸ばす方向に対して、ブレーキを掛ける事が出来なくなり、股関節を曲げる方向に動かせなくなります。
その結果…
『腰椎を麻痺側に傾けて(腸肋筋)、骨盤を持ち上げる(腰方形筋)』方法で麻痺側を前に振り出します。
なので、腸腰筋の筋緊張の低下に伴うぶん回し歩行の見分け方は…
パターンの方は、腸腰筋の運動麻痺に対してリハビリが必要になります。
多裂筋の筋緊張が低下している方の見分け方
多裂筋の筋緊張が低下していると…
歩行の際に、腰を伸ばす反応や、骨盤を前傾させる反応が乏しくなり、前傾姿勢になります。
その状態では、脚を振り出す為に必要な股関節を曲げるスペースが狭くなり、脚を前に出せなくなります。
脚を前に出す為に、肩関節〜骨盤についている広背筋と呼ばれる筋肉を使って麻痺側肩関節と肩甲骨を背中の方に引き込ませることで、振り出すスペースを作ります。
その結果、
『身体は麻痺側に捻じりつつ、骨盤を持ち上げる』方法で麻痺側を前に振り出します。
なので、多裂筋の筋緊張の低下に伴うぶん回し歩行の見分け方は…
パターンの方は、多裂筋の運動麻痺に対してリハビリが必要になります。
おわりに
ここまで読んで頂きありがとうございます。
はらリハでは、自費リハビリを受けたいが、金銭的に難しい方に向けて、有料の自主トレメニューを販売しています。
そもそもの話をすると脳卒中後遺症の根本的な問題を解決するためには筋肉トレーニングだけでは不十分です。
なぜなら…
根本的な問題は『脳』にあるからです。
脳の問題を解決するには「脳と手足を繋ぐ神経」を回復させる必要があり、そのためには「脳の可塑性」が重要になります。
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