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半側空間無視[治療:一側性感覚刺激]
お疲れ様です。はらリハです。
本日は…
「半側空間無視の治療:一側性感覚刺激」について解説します。
※ 引用、参考書籍
ガイドラインの推奨度
https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf
冷水、振動、電気刺激を用いた訓練(推奨度C エビデンスレベル低)
一側性感覚刺激
半側空間無視の治療手段の1つとして『一側性感覚刺激』があります。
これは空間性注意の右方偏倚(右方向への依存)に対して、一側性の感覚刺激を与えるものです。
内容としては、外部世界から得られる「多感覚入力」と外部世界への「運動出力への関わり」で統合される自己身体中心の座標系に対して、右方へ偏りの緩和、修正を狙っています。
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石合純夫
1) カロリック刺激
右向き傾向にある視線と頭部に,カロリック刺激で反対向きの左向き傾向を誘発すれば、半側空間無視が改善する可能性があると報告
カロリック刺激とは、外耳から冷水を注水し、前庭器官を刺激し、USN を改善させる方法です。
しかし、カロリック刺激は、眩暈や嘔気を引き起こし、副作用の影響が大きく、効果の持続は15分程度のため、臨床での実施は難しいです。
効果の報告としては、線分抹消試験は見落としが減少、消失したが、刺激前に右から左であった走査順序が、カロリック刺激中は左から右に変化する場合が多かったと報告があります。
また、覚醒度や注意集中力も高まると報告があります。
2) 視運動性刺激
正常な人でも起きる生理的な現象である視運動性眼振を用いた治療です。
視運動性眼振とは…
「車や電車の窓から外の景色を眺めている時に眼が小刻みに動く現象」を言いいます。
これに対して、Pizamiglio ら(1990)は、右方または左方へ動くランダムドットの背景によって視運動性眼振を誘発し、その上で行う線分二等分について検討しました。
結果、半側空間無視患者の二等分は、健常者や半側空間無視のない右半球損傷患者と比べて、背景の動きの影響を強く受け、左向きの背景移動で二等分点の右方への偏りが減少したと報告があります。
また、Pizzamiglio 5(2004)が半側空間無視訓練に,視運動性刺数を追加した場合としない場合の効果とを比較し、視運動性刺激の追加による長期的訓練効果は確認されなかったと報告があります。
それに対して、純粋に訓練として視運動性刺激を実施した検討(Kerkhoff ら 2006)が行われ、しっかりとした視運動性眼振の誘発のみの繰り返しが無視の改善につながる可能性も示されています。
3) 頸部筋振動刺激
Karnath ら(1993)は、左後頭部の筋に振動刺数を与えて運動覚性錯覚を生じさせ、半側空間無視を改善する方法を考案しました。
左側の後頭部筋に振動刺激を与えると、筋が伸張されたという錯覚が生じ,主観的に身体の正面正中と感じる方向が実際よりも左方へ定位されると報告があります。
Schindlerら(2002)は、慢性期の半側空間無視例を対象として頸部振動刺激のリハビリテーションを応用し、効果判定を検討したところ、40分間の視覚探索訓練を週5回、3週間にわたって実施した基準治療では無視は改善しなかったが、同じ内容、回数、期間の訓練に頭部筋刺激を追加した複合治療で無視が改善したと報告があります。
また,2ヵ月後の再評価でも改善が持続していることが確認されたと報告がありあます。
また、Johannsen ら(2003)は、頸部筋振動刺激を単独で1日に20分間ずつ10日間実施した場合に、長期的改善効果がある可能性を報告がありました。