半側空間無視[自己中心と物体中心の無視]
お疲れ様です。はらリハです。
本日は…
「半側空間無視:自己中心の無視と物体中心の無視など」について解説します。
※ 引用、参考書籍
注意障害説とは?
左片麻痺(右半球損傷)の方に半側空間無視が出現することが多い理由として「注意障害説」が最も有力な仮説です。
ヘンネマンの「空間性注意機能の側性化仮説」によれば…
ただし、外部刺激に対する受動的な注意を前提としていると思われます。
能動的:自ら意識して注意を向ける機能
受動的:目立つものに自然と注意が向く機能
視覚などの外部刺激に対する受動的な注意能力は「後頭葉/頭頂葉」の機能です。
自らの意思による能動的な注意能力は前頭葉の機能であり、脳の注意力の左右差についてはまだ謎が多いです。
では、半側空間無視の空間はどのように捉えればいいのか、以下の現象が生じやすいので紹介します。
「どこの空間」と「なにの空間」
視覚情報は「網膜から後頭葉の視覚中枢」に入力した後…
☑︎ 頭頂葉の「どこの空間」
☑︎ 側頭葉の「なにの空間」
に分かれて物体の認識すると考えられています。
半側空間無視はこの「どこの空間」における「方向性の注意障害」という仮説があります。
「自己中心座標」と「物体中心座標」
空間認知には「自己中心座標」と「物体中心座標」があります。
自己中心座標の無視
外部空間全体の左側を無視するのが自己中心座標系の無視です。
物体中心座標の無視
右空間の物体を注視したときに物体の左側を無視するのが物体中心座標系のむしです。
※ ヒリスによれば…自己中心の無視は「上側頭回」/物体中心の無視は「角回」と報告している
そのどちらも障害されていることが報告されていますが、自己中心座標系が障害されていない半側空間無視はいません。
「近位空間」と「遠位空間」
半側空間無視では、近位の自己周囲空間の障害が顕著な傾向にあるが絶対的ではないです。
「静的空間」と「動的空間」
半側空間無視では、「動く空間」より「動かない空間」への注意が困難な傾向があります。
これは「静止した物体の認知が困難だが、動的な物体は認知できる」という静的空間を無視する現象です。
例えば、「視覚消去テスト」を応用し、患者さんの目の前でセラピストが両手を広げ、左右の指をそれぞれ数本立て、左右の指の数の「足し算」を求める検査を行うと、左空間に立てた指を動かさずに静止させておくと回答を誤ることが多いです。
一方、立てた指を動かすと患者さんはそれに注意を向けます。
セラピストが指を動的空間にすることで、患者さんは頸の回線や眼球の動きを左空間に向ける傾向があるようです。
「固定」と「移動」
注意の「固定」よりも「移動」が困難という捉え方も提案されています。
右空間に注意が固定され、左空間に注意を移動できないという解釈ですが、この捉え方は「磁石で右空間に引きつけられたかのように、注意の移動ができない」として解釈していると考えると分かりやすいです。
まとめ
半側空間無視では「どこの空間(方向性)、自己中心座標系、近位空間、静的空間、注意の移動」において症状が出現しやすいです。
しかし、逆の条件でも出現する可能性があるので、傾向として認識しておきましょう。