なぜ悲劇は繰り返されるのか? 第5章:いじめ問題が未来を変える ③

次に“いじめの解決法のマンネリ化”だ。

 現在も以前と変わらず、いじめが起きた時点で大人たちが加害者側に「○○くんもしくは○○ちゃんをいじめたの?」と事情聴取をしていることがあるようだ。そして、大人としては早く解決したいと思ってやっていることなのだろうが、私はこれらの行動や行為が子供たちの我慢を助長しているのではないかと感じている。

 私も幼少期からずっといじめを受けてきた経験があり、いじめがエスカレートしたタイミングのほとんどが自分から先生に相談したときのことだった。そのため、中学生くらいになるといじめをされても我慢している事が増え、先生が気付くまでは何もしなかった。

 しかし、先生に気付かれるとそのタイミングでエスカレートすることもあったが、すぐに収まった。

 つまり、いじめというのは軽度から重度までかなり多岐にわたっており、これまでの暴力を伴うケースや相手の弱点をターゲットにしたいじめが行われてきたが、直近ではデジタル・バイオレンス(電子的暴力)などの閉鎖的いじめが加わり、いじめる手段が多岐にわたりかつ複雑化しており、一度いじめが起きてしまうといじめが連鎖的に起きていく可能性があり、子供たちの精神的な変化や行動などに気を付けなくてはいけない部分が増えていく。

 そして、現在はコロナ渦ということもあり、いじめなど子供たちの精神面におけるケアが重要になってくるが、方法を間違えるとこれまで以上に子供たちを傷つけてしまう可能性がある。なぜなら、これまでのように“いじめを受けた”と勇気を持って相談に来てくれた子供の話しを聞いて今までのように動くと逆効果となって子供たちのストレスを増大させるだけではなく、場合によっては突発的な行動を無意識のうちに取ることもあるため、私は子供たちが相談に来てくれたときには必ず“先生が一緒だからね。”といってすぐに行動を起こさない方が子供たちのストレスが急上昇することを回避することが出来る。

 私はこの時代のいじめ問題に向き合うヒントとして“子供たちの意思の尊重と家庭環境の安定化”が1つ目として挙げる。

 これは、これまでの学習環境や校内環境、人間関係と子供にとっては“大人が自分たちをコントロールしている”という気持ちにさせてしまう可能性のある状況を生んでいる。

 そして、これらの環境の変化が大人への信頼や信用を失わせ、ちょっとした言葉の認識のズレであっても校内における人間関係の悪化に拍車をかけ、そこからいじめなどに繋がることが十分想定できるのだ。

 今の子供たちの価値観と大人たちの価値観は少し違っているし、子供たちが“友達に会いたい”と思っても会えないなど自分たちの自由を奪われる状況が長期化し、大人の判断に振り回された結果、子供たちの異常行動や大人への不信感など子供たちが「自分達の気持ちを主張しても、その主張を大人たちがかき消してしまう」、「なんで、運動会や宿泊学習、国体やインターハイ、修学旅行等の学校行事は中止や延期をしているのに、オリンピックなどは何もなかったかのようにやるの?」という心理を芽生えさせてしまう。そして、大人の都合で利用された結果、「僕たち・私たちは自由なんかない」・「大人は信用できない」と投げやりになってしまう子供が増えてしまうのだ。

 そして、今のいじめにも人為的いじめと併発的いじめがあり、前者は“○○くんがやってきたから自分がやり返した”のように子供間のトラブルが原因でおきる突発性のいじめ、後者はいくつかの要因などが積み重なって起きる連鎖的いじめだ。

 現在は特に後者のいじめが起きやすくなっているように私は感じている。なぜなら、コロナ渦で将来の進路などに対する双方の意見のズレが顕著になっていることやデジタル時代になったことで特定の人に対するデマや憶測などが飛び交いやすく、どこで情報が漏洩するか分からない状況であり、不確かな情報や使う言葉が乱暴になってしまうことも十分に考えられるのだ。

 そして、子供たちの言葉に対する認識や理解において以前よりも言葉によっては否定的に捉えてしまう可能性があり、そこから勘違いをして相手を攻撃してしまうということも十分に考えられるのだ。

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NOTTI
現在、小説とコラムを書いています。 コラムに関してもこれから完成している物を順次公開していく予定です。 自分の夢はこれまで書いてきた小説を実写化することです。まだまだ未熟ですが、頑張って書いていきますので、応援よろしくお願いいたします。