無料の英語の文学作品3万冊を、読了時間と難易度で探せるサービスの話
【要約】
「英語の本を、無料で読みたい」という方のために、
無料で読める3万冊を超える英語の文学作品から、読みたい本を検索できるサービス「Bungo Search(ブンゴウサーチ)」をリリースしました。
このnoteでは、Bungo Searchの機能や使い方をご紹介します。
英語を読む力を鍛えるためには、実際に英語の文章を読んでみることが大事です。
しかし、いざ英語を読もうと思っても、「何を読めばいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
そうした方々にぴったりな、無料で読める英語の文学作品を検索できるサービス「Bungo Search(ブンゴウサーチ)」をリリースしました。
Bungo Searchを使えば、3万冊を超える英語の文学作品の中から、読了時間や難易度などによって、あなたにぴったりの本を見つけ出すことができます。
Bungo Searchは無料で利用できて、さらに、検索した本もすべて無料で読むことができます。
このnoteでは、Bungo Searchの仕組みと使い方を紹介していきます。
すべて無料で読めるわけ
あなたは『青空文庫』をご存知でしょうか?
青空文庫は、著作権が消滅した作品や、著者が自由に読んでもらうことに同意した作品を公開している電子図書館です。
青空文庫には、夏目漱石の「こころ」や、太宰治の「人間失格」、芥川龍之介の「羅生門」といった、日本人なら誰もが知っている有名作品も収録されています。
実は、この青空文庫と同じようなサイトは、英語圏にも存在します。
それが「Project Gutenberg(プロジェクト・グーテンベルグ)」です。
青空文庫と同じように、Project Gutenbergにも、著作権が消滅して自由に読めるようになった作品が集められています。
その数、なんと3万冊以上!!※1
その中には、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」やマーク・トウェインの「ハックルベリー・フィンの冒険」といった有名作品も収められています。
Bungo Searchは、このProject Gutenbergに収録されている作品を検索できるサービスです。
そのため検索した作品は、無料で読むことができるのです。
ちなみに弊社では、青空文庫に収録されている作品を検索できるサービス「ブンゴウサーチ」と、青空文庫の児童文学を検索できる「ブンゴウサーチ for kids」も運営しています。
「ブンゴウサーチ for kids」は、コロナ下で声優さんの朗読企画にもご活用いただきました。
利点(1):作品を読了時間で探せます
さてそれでは、Bungo Searchの使い方をご紹介していきましょう。
Bungo Searchでは、具体的に何ができるのでしょうか?
その一つが、『読了時間による作品の検索』です。
Bungo Searchでは、「5分以内」「10分以内」といった短編から「3時間以上」の長編まで、読了目安時間で作品を絞り込むことができます。※2
英語の本を読もうと試み、挫折してしまう大きな原因は、いきなり長編作品に手を出してしまうからです。
そのため、まずは短い時間で読み切れる、短編作品から読み始めてみましょう。
Project Gutenbergの中には、5分や10分で読み切れる作品も収録されています。
そしてBungo Searchを利用すれば、あなたの興味のある短編作品を、効率的に見つけ出すことができます。
利点(2): 難易度の目安がわかります
Bungo Searchでは、作品内で使われている英単語の難易度を目安にして、作品を読む『難易度』を知ることができます。
上の画像の「NGSL」の欄のパーセンテージが高ければ高いほど、基礎的な英単語が利用されているということを表します。
つまり、NGSLのパーセンテージが高ければ高いほど、その作品を読む難易度は下がります。※3
NGSLとは、基礎的な英単語のことです。
NGSLについては、以下の記事が参考になります。
この難易度目安を活用すれば、自分の英語習熟度にあった作品を見つけることができます。
※現時点では「5分以内」「10分以内」の短編作品のみ、難易度目安を算出しております。
利点(3): 作品内に出てくる単語をCSVでダウンロードできる(短編作品のみ)
作品の詳細ページからは、その作品内で出てくる単語をCSVでダウンロードすることができます。※4
※現時点では「5分以内」「10分以内」の短編作品のみ、CSVダウンロードに対応しております。
AnkiやBooQsやQuizzletといった多くの単語帳サービスはCSVインポートに対応しています。
ダウンロードしたCSVデータを利用して単語帳を作成して学習すれば、その作品を読むのに必要な英単語を覚えられるでしょう。
CSVでダウンロードできる英単語は、「作品内の英単語のうち、NGSLに含まれないもの」になっています。
NGSLに含まれる基礎英単語に不安のある方は、別途以下のようなNGSLの問題集で勉強しておかれると良いでしょう。
オススメ作品(1):『The Story of the Three Little Pigs(三匹の子豚)』
さてここまで、Bungo Searchの仕組みと使い方について説明してきました。
ここからは、実際にProject Gutenbergで読める作品のうち、短めで、比較的英語も簡単なオススメ作品をいくつかご紹介します。
まず最初にご紹介するのは、みんな知ってる『三匹の子豚』のお話です。
特に最初のうちは、日本語ですでに知っている話を英語で読み直すのもおすすめです。
ただこちらは原型に近いためか、一般的な絵本で見るバージョンとは多少違うところもあっておもしろいです。
さくっと読めるので、詳細はぜひ実際に読んで確かめてみてください。
オススメ作品(2):『The Tale of Peter Rabbit(ピーターラビットのおはなし)』
続いてご紹介するのは、人気絵本「ピーターラビット」のシリーズ第1作目です。
短くて平易な単語が多いので、英語初学者の最初の1冊にもオススメです。
ぜひ挿絵つきのバージョンで読んでみてください。
ちなみにProject Gutenbergには、ピーターラビット・シリーズの他の作品も収録されています。
以下のように、著者であるBeatrix Potterで著者検索することで一覧できます。
ピーターラビット・シリーズを含め、Beatrix Potterの作品のほとんどが短い時間で読めるのでオススメです。
オススメ作品(3):『The Cask of Amontillado(アモンティリャードの酒樽)』
最後は日本でも人気の作家、エドガー・アラン・ポーの短編作品です。
上記2作より少し長く、単語も難しいですが、絵本では満足できなくなった方はぜひ挑戦してみてください。
実際に英文を読む前に、以下のリンクなどから日本語であらすじをチェックしておくと、内容を理解しやすいかもしれません。
オススメ作品の英単語問題集も公開中
ここまで紹介したオススメ作品については、英単語学習サービス「BooQs」と提携して、英単語問題集を提供しています。
BooQsは、認知心理学に基づいた効率的な学習をサポートしてくれる英単語学習サービスです。
忘却曲線に基づいた復習リマインド機能や、ゲーミフィケーションを活用した継続しやすい仕組みによって、効率的な英単語学習をサポートしてくれます。
現在、解答数も200万を超えており、100日以上も毎日欠かさず利用しているユーザーも多くいるサービスです。
BooQsでオススメ作品の問題集を解くことによって、オススメ作品がより読みやすくなり、また作品内の英単語を効率的に記憶に定着させることができます。
ぜひご活用ください!
まとめ
【まとめ】
・Bungo Searchは、無料で読める英語の文学作品を検索できるサービスです。
・3万冊を超える文学作品の中から、読了時間や難易度などによって、自分に合った作品を見つけることができます。
・挫折を防ぐためには、5分や10分程度で読める短編作品から読まれることをオススメします。
・オススメの3作品については、文章中の英単語を学べる問題集を解くこともできます。
最後にお願い
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
もしBungoSearchに興味をお持ちいただけたましたら、最後にちょっとだけ、応援のご協力をお願いさせてください。
今回の正式リリースにあたり、世界最大のプロダクト投稿サイト「Product Hunt(PH)」にBungoSearchを投稿しました。
もしPHにアカウントをお持ちの方は、BungoSearchに「Upvote(いいね)」していただけると開発者が泣いて喜びますので、ぜひ応援よろしくお願いします。
そしてこれで本当に最後ですが、BungoSearchはまだリリースしたばかりのベータ版です。
Project Gutenbergには大量のデータが存在し、かつデータフォーマットが不揃いなものも多く、おかしなところも多々あるかと思います。
もしなにか気づいたことがあれば、サービス改善のためぜひ運営までフィードバックいただけると幸いです。
それでは、よい英語学習ライフを!
※1: Project Gutenberg全体の収録作品数は6万点を超えますが、英語書籍ではないものやテキストデータの公開方法が特殊なものなどを除いた結果、BungoSearchではそのうちの約3.5万件を検索対象としています。
※2: 読了目安時間は、成人英語話者の標準読書スピード「300words/分」を基準に算出しています。当然標準的な日本人の場合はもう少し時間がかかるでしょうし、英語のレベルや元々の読書スピードによっても大きく変わります。あくまで目安の数値として参考にしてください。
※3: 作品内の基礎単語の割合は、英語難易度のひとつの目安にはなりますが、もちろん絶対的な基準ではありません。簡単な単語でもイディオムを知らないと意味が取れなかったりするので、こちらもあくまで目安の数値として参考にしてください。
※4: ダウンロードできるCSVファイルには日本語訳は含まれません。簡単に日本語訳を用意したい場合、Googleスプレッドシートなどをご活用ください。また記事内で紹介しているおすすめ作品は、BooQsに日本語訳もつけた問題集を用意していますので、そちらもぜひご活用ください。
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