大人になるって
料亭には毎日いろんなお客さんがやってくる
高級料亭なので若い人はほとんど来ない
お客さんの年齢層は高めで
40歳から65歳くらいの人がほとんどである
私は今24歳
年齢的には立派な『大人』になったわけだが
体ばかり成長して(いやん)
まだまだ心は子どもだなと実感する日々である
料亭で働くようになってから
こんな大人にはなりたくないな、と思う人ばかり
目についてしまうようになった
良くいうと反面教師で自分の行動を見直せるようになった
悪くいうと人の粗探しがうまくなってしまった
今日はそんな私が思う『こんな大人にはなりたくない』人たちを紹介していく
以前いたのはこんなお客
「僕の家、あいみょんの隣にあるんだよね」と
おじさんが唐突に私に声をかけてきた
若い子にはあいみょんって言っておけば
ウケがいいだろという魂胆が垣間見えたのが嫌だった
そして50歳を超えてようやく管理職につき、
ある程度心にもお金にも余裕が
出てきたからさらに欲深くなってきてる感じが表情と言葉だけで伝わってきた
お次はこんな人
👨🏻🦱「ユミちゃんち(国際結婚)の
子どもの名前のスペルってどう書くの?」
👩🏼🦰「ルイヴィトンのルイだよ」
こうもなりたくない
高級ブランドの名前をわざわざ出して
スペルを教える必要なくないかと思った
ブランド名をわざわざ出すところが
いやらしく思えた
考えすぎなのか
ルイヴィトンのルイ以外でスペルを
もっとうまく伝えることができなかったのかと
シャワーを浴びながら考えたが
夜中は特に頭が回らず
さっさと諦めて、髪を乾かさずに寝た
お次はこんな人
「まだ飲むんですかぁあ⁉️」と
下座に座る部下に言われながらも
見栄を張りたくてお酒を飲む上司
こうもなりたくない
これは私の願望だが、大人こそ
お酒の嗜み方を知っていてほしいものだ
上座に座っていた上司は
結局、みんなを送り出した後、
真顔で席に戻り、
頼んだハイボールには一切手をつけず、
トイレとタバコのために長居して帰っていった
ここまで3人の大人を紹介したが
これは私が勝手にこの3人に
こうであってほしい、という理想を押し付けてしまっているからこんな解釈になってしまった
見方を変えると
この3人は途端にかわいく思えてくる
例えば、あいみょん自慢おじさん
この人は何年も社畜サラリーマンとして働き、
ようやく憧れの管理職に就いた
そして、あいみょんと同じマンションに引っ越し、あたかもあいみょんと紅白に出たかのように優越感に浸り、こちらに自慢してくる
苦しんだ年数が長かった分
この喜びは周囲に伝えざるを得なかったのだなと
思うと途端にかわいく見えてくる
お次は
国際結婚をしたお母さん
共働きが珍しかった時代
早々に結婚し、退職し
自分が1番時間をかけて続けてきたものが
気付いたら仕事ではなく、
子育てになってしまっていた
全力を注いで子どもを守り抜いたお母さん
そんな大切に大切に育てた息子たちの子どもの名前のスペルくらいは自慢気に見栄を張って言いたいものだ
そう思うと「ルイヴィトンのルイよ」と
堂々と答えたお母さんの表情は
母親の強さを感じられる
最後は
上座で無理にお酒を飲む上司
自分が率先して飲まないと
ほんとにお酒が好きで飲みたい人たちが
遠慮して飲めないのではと気を遣い、
大して強くもないのに頑張っていたのかもしれない
そう思うと
部下が帰った後、
ハイボールに手をつけず夢中でタバコを吸う
不器用で謙虚なサラリーマンの背中が大きく見えた
見方を変えるって面白い
大人も子どもも大して変わらない
みんな対等でいたい
今日はどんなお客さんに出会えるかな
わくわくしながら
今日も着物の帯をきつく結んだ