もう一度会いたい
フィクションを書いています。
ある青年の話です。
月日は淀みなく流れます。
その青年は、わけあって転居を繰り返していました。
数年住んでは、また別の土地へ・・・
何度も何度も、別れを繰り返してきたのです。
時々、夢に現れるかつての人達
夢でなくとも、はっと思い出す彼のひとの笑顔
それから、寂しそうな顔が思い出されるのです。
かと思えば、ぶつくされた顔で今にも怒り出しそうなその人の姿
離れても、まるでずっと一緒に暮らしているよう
ただし、どんなに手を伸ばしても届かないのが寂しいところ
幻はいつでもすっと消えてゆくのでした
青年は行き詰っていました。
そんな時、思い出すのはやはりかつての人達
いつか援軍が来る・・・
あの人や、あの人も、皆で・・・
援軍が来る・・・
都会の雑踏の中 振り返ったら 幾人もの知った顔が ありました
ああ、皆、連絡もなしに突然来るのだから・・・
青年は走って彼らの懐へ飛び込むように向かったのです
鳩が一斉にバタバタ―っと飛び去りました
気づいた時青年は飛び交う鳩の中に埋もれていたのでした
夕陽が西に沈んでいきました
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