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〈夢幻鉄道二次創作〉川辺の死線の先にあるもの①#138

このnoteは西野亮廣さん作「夢幻鉄道」の
二次創作の短編小説となります。
①〜④の4回に分けて執筆予定となります。
挑戦を見守って頂けると幸いです。

「いやぁ、また部長に叱られちゃって、へへっ」

川辺(カワベ)は今日もまた、深夜の1時にLINE電話をかけてくる。


「ったく、今何時だと思ってんだよ。この時間に帰宅だなんて相変わらずのブラック企業だな。」

私は、眠たい目を擦りながら、元部下の愚痴を今日も聞いているのだった。


「それが、聞いてくださいよタクさん。部長ってばひどいんですよ。また、ノルマ達成できなかったら減給するぞ!ってまた脅してきたんですよ…!」

「その話、もう何回目だよ、、、いい加減辞めて帰ってこいよ。こっちは結構楽しいぞ?」

「ですよねぇ、へへっ。でも、僕には夢があるんです!クリンちゃんと…!!」

「ああ、はいはい。それもいつも聞いているから、話さんでいいよ。その為に上京したんだもんな。」

「その通りっす!でも、会社辞めるのはちょっと勇気がでなくて…クリンちゃんはそんな弱っちぃ男なんて認めてくれないっす!!」

「あっそー。」


川辺は毎晩、私を起こしては、その日の愚痴を一通り話した後に、必ず《クリンちゃん》について、熱く語るのである。

どこに実在するかもわからない《クリンちゃん》という仮想空間のアイドルに逢いにいって、告白しに行く!と豪語するのだ。それも1時間近く…。

川辺にとって、《クリンちゃん》こそが生き甲斐であり、彼の生きている意味といっても過言ではなかったともいえる。


一通り話し終えた川辺は、クリンちゃんのアーカイブ配信を見るといって通話を切った。

「やれやれ、アイツ、クリンちゃんが居なくなったら死ぬんじゃないか?まっ俺には関係ないけどな。」

私は、明日の仕事に備え、もう一度ベッドに横になり目を閉じたのだった。



少し肌寒く感じてカーテンを開けると、空は雲に覆われていて少し薄暗い朝のことだった。


私は日課のライニング終わり、LINEニュースで気になる小見出しを見つけた。そこには、


人気Vtuverの電撃引退!!

と書かれていて、何となくリンクをタップする。


『国民的バーチャルアイドルのクリンが、突然の引退を表明したとのこと。事務所は具体的なコメントは控えるとのことで詳細は不明。以前からファンの間でウワサされていた体調不良が原因か。』


私は少しだけ嫌な予感がした。

「えっ!!?クリンって、まさか川辺がいつも言っていた《クリンちゃん》のことか!??」


急に胸がソワソワするような不安感を覚えたが、出勤時間が迫っていたので、一旦考えるのを辞め、冷めたコーヒーを一気に飲み干し家をでる。


「川辺、大丈夫かな。まっ今晩どうせ電話かかってくるだろうし。その時励ましてやるか。」

私は、心配こそしていたが、最悪の事態まで想定しておらず、通勤路に発つのであった。



その日の晩のこと。

私は普段なら寝ている深夜1時になっても、部屋の灯りをつけっぱなしにして、川辺からの連絡を待っていた。

しかし、いつまで経っても着信音が鳴ることはなく、まもなく2時をまわった所で、私の方から初めてLINE通話の発信ボタンを押したのだった。

1コール

2コール

3コール

8コール…ピロロン。

「せっかく、心配してかけてやったのに無視か。まあ、落ち込んでるだろうし無理もない。俺も寝るかー。」

私は「心配して損した」と割り切って灯りを消し、寝る体制にはいった。


しかし、何分経っただろうか、体感時間で30分間ほど目を閉じていたが、一向に眠れる気がしない。


私は、晴れない胸騒ぎを紛らわす為、パジャマにパーカーを羽織って、夜風に当たろうと外にでた。


「今日は満月か。こんな時間に散歩するのも悪くないな。」

夜空を見上げながら、少し歩いたところで、前に川辺と話したことがある公園に行き着いたのだった。

特に理由はなかった。なんとなく懐かしく感じて、外灯でなんとか明るさを保っている公園のベンチに腰掛ける。


空気が澄んでて雲一つないうっとりするような夜空を目を奪われていて、気づかなかったのだが

顔を下に向けたとき、腰掛けたベンチの下に「スマートフォン」があることに気がついた。


「おっ?なんだこれ?」

落とし物のようだった。電源は入っている。


「警察に届けるべきか。今頃持ち主困ってるだろうな…まっ今日はむりだが、、、」

と思ったその時。

通知音が鳴り、私は「おっ?」と驚き、スマートフォンを落としかけた。

そして、文章が表示されるのが見えてしまった。

〈今、軒笹駅にいるんだけど迎えに来れる?〉


「あっちゃー、見てしまった。しかし、差出人が迎えに来れる?って聞いてるということは、持ち主の知り合いに違いないよなぁ…」

「にしてもこんな時間に、、、でも10分くらいの距離だし、届けに行ってみっか。そうすれば本人にも届くだろう」

私は、黙って色々と思考を巡らせ、、少々迷った結果、軒笹駅に向かって歩みを始めたのであった。


しかし、道中、不思議なことが起こっていた。

軒笹駅周辺までの道のこと。どこか見慣れない通路に迷い込んだ感覚に襲われた。

「おかしいな…?道間違えたか?いやでも一本道だし。こんなところあったっけ?」


少し不安になりながら、いつもと同じはずの道を歩いて歩いていく。


そして、軒笹駅のホームにたどり着いた私は、夢と錯覚するような光景を目の当たりにしたのだ。

「なん…だ!、、、これは!!!?」


なんと、目の前に急に現れたのは、

《空へと線路が続く大きな鉄道だった》



>>続く。

最後までお読み頂きありがとうございました。

(2124文字/執筆時間241分)

#西野亮廣エンタメ研究所
#夢幻鉄道



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ノんスケ
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