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釣りバカ考
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『釣りバカ日誌』の映画版の話です。本作の主人公は、浜崎伝助です。浜崎は「はまさき」と読むので濁りません。濁りと釣りは密接な関係にあります。奥さんは、浜崎みち子です。二人はおしどり夫婦として広く知られています。深海魚にも知られているかもしれません。射程範囲は驚異的です。
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浜崎みち子は浜崎伝助のことを「ハマちゃん」と呼びます。一般的な会社員に対しての呼称です。なので、夫がミュージシャンだったら「ハマー」と呼ぶでしょうし、夫が工具だったら「ハンマー」と呼ぶでしょう。職業に応じた呼称の使い分けですね。
その一方で、浜崎伝助は浜崎みち子のことを「みち子さん」と呼びます。一般的なワイフに対しての呼称です。なので、妻が先生だったら「まいっちんぐマチコ」と呼ぶでしょうし、妻が体操選手だったら「コマネチさん」と呼ぶでしょう。マチコ vs コマネチ。果たしてどちらに軍配が上がるのか。
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新婚ホヤホヤの夫婦ならいざ知らず、二人は結婚してから数年経ってもラブラブです。その秘訣はどこにあるのでしょうか。私は「敬称」にあると思います。妻は夫のことを「ちゃん」付けで呼びますが、夫は妻のことを「さん」付けで呼びます。オットセイが妻のことをどう呼ぶかはわかりません。
ちなみに、オットセイはハーレムを形成するそうです。人間世界で言うところの「一夫多妻制」ですね。一匹のオスのオットセイが多数のメスを独占して、海岸の近くにハーレムを作るらしいです。せっかくなので、海の家でも経営したらどうでしょうか。人間とオットセイの間で言葉が通じないのは御愛嬌です。
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ハマちゃんとみち子さんは凸凹のような存在です。お互いがそれぞれの性質を理解して尊重することによって、不要な摩擦を回避しているのです。双方のバランスを上手く保つことによって、貿易摩擦が生じるのを防ぐようなものですね。
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ただ、世(夜)の中には「必要な摩擦」もあります。言わずもがな、釣りバカ名物の「合体」が好個の例です。1対1の「夜釣り対決」は深夜にまで及びます。勝敗の行方が気になりますね。寝坊して遅刻しそうになったら、ハチに頼んで船で送ってもらえば良いのです。持つべきものは、忠犬もとい忠人ですね。
オットセイの話に戻りますが、メスを巡る戦いに敗れたオスは、オス同士で群れを作って生活するらしいです。なんというか、敗残兵が寄り集まって作るコミューンみたいですね。彼らオットセイは、夫と呼ばれることなく生涯を負えるのです。otto say.