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ティファニーで朝食を


映画版の『ティファニーで朝食を』についての話です。冒頭で、主人公のホリーがティファニーの店の前でパンを食べるシーンがあります。あまりにも有名なシーンですね。パンをムシャムシャと貪り食うその姿は餓鬼を連想させます。


ですが、店員からすれば、恐怖体験以外の何物でもありません。店の中でなんとなく働いていたら、ウインドウ越しに見知らぬ女の顔が現れるのです。それも、クロワッサンを口いっぱいに頬張りながらの登場です。完全に白昼夢ですね。


店内にあるジュエリーを眺めながら食べるパンは、さぞや美味しく感じられることでしょう。たとえるならば、隣の料理屋から流れてくる匂いをオカズにして、白米を食べるようなものです。質素倹約の精神と広大無辺な想像力がなせる業ですね。

一見すると、ホリーの行動は薄気味悪いものに思えるかもしれません。ですが、実際に店内に入って、ジュエリーを食べるよりは遥かにマシでしょう。ジュエリーを大量に食べられてしまっては、貴金属もとい飢饉状態に陥ってしまいます。オープンハートどころかクローズドアですね。


その他には、ホリーが窓辺に腰かけて歌うシーンが有名です。情感たっぷりに歌い上げる『ムーン・リバー』は格別な味わいがあります。その様子は『アカギ』の鷲巣麻雀を彷彿とさせます。この映画の世界観では、とちっても血を抜かれることはないので安心です。


アコギといえば、なんといってもボブ・ディランでしょう。彼がアコギからエレキに持ち替えて登場したときに、盛大なブーイングを浴びたというエピソードはあまりにも有名です。そんな批難もなんのその。「でかい音を鳴らせ!」とバンドのメンバーに向かって叫んで演奏したディランの姿は、今でも語り草になっています。I get high!


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