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つぶやきのまとめ その31


古代エジプトの王の儀式が興味深い。王が亡くなると「鳶」と呼ばれる泣き女が王の遺体の傍で「陛下は天へと飛び去られた(鳶だけに)!」と繰り返し叫んだという。生者に置き換えるならば、眠りに就いた直後に耳元で大音量の目覚まし時計が鳴り響くようなものだ。おちおち永眠していられない。


水木しげるのエピソードで「仕事が減少して創作意欲を失うが、自分の子供が妖怪を目撃したという話を聞いて、嬉しくなって立ち直った」というものがある。「我が子の妖怪目撃談で再起する」というのがすこぶる良い。なので、落胆している人がいたら「妖怪を見たよ!」と言ってみよう。物は試しで物の怪だ。


長寿のお祝いには、年齢別の色がある。ドラクエの色違いモンスターのようなものだ。最も有名なのは、還暦祝いの赤色だろう。70歳(古希)と77歳(喜寿)は紫色であり、80歳(傘寿)と88歳(米寿)は黄色である。そして、90歳(卒寿)は紫色に戻る。童心(70代)に返るということだ。


『ベニスに死す』を観た。ビョルン・アンドレセンの美貌に覆い尽くされた映画だった。「怖気を震う美しさ」とはまさにこのことだ。美は焦点なり。ちなみに、鑑賞のお供はビスコである。言わずもがなだが、本作の監督であるヴィスコンティにかけている。ベニスに死すよりもビスコを食す方が健康的だ。



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