ドラえもんと「129.3」
ドラえもんにまつわる数字として「129.3」というものがあります。身長は129.3cm、体重は129.3kg、足の長さは129.3mmというように、ドラえもんの身体には「129.3」という数字が付いて回ります。付いて回るというよりも「憑いて廻る」と表記した方が適切かもしれません。キングボンビーみたいなものでしょう。御存知ない方のために書き添えておくと、キングボンビーというのは『桃太郎電鉄』シリーズに登場するキャラクターであり、プレイヤーがせっかく貯めたお金を一瞬で使い果たすという我利我利亡者です。グェッヘッヘ!
それはともかく、ドラえもんです。なぜドラえもんは「129.3」という数字に囚われているのでしょうか。ドラえもん本人は「ボクは数字に囚われているわけではない」と抗弁するでしょう。ですが、ここまであからさまに同じ数字が並んでいる状況においては、かなり苦しい主張であるといえます。本人が好むと好まざるとにかかわらず、ドラえもんは確実に「129.3」という数字に支配されているのです。支配というのは、それを自覚したときにはもうすでに完了しているものなのです。
「もしかしたら、1293年に起こった出来事と関係があるのかもしれない」と思って調べてみたら、1293年(正応6年)には、平禅門の乱が起きていました。平禅門の乱とは、鎌倉で起こった政変です。当時、絶大な権勢を振るっていた平頼綱が、その主君である北条貞時によって滅ぼされたのです。ということは、ドラえもんは平頼綱の生まれ変わりなのかもしれません。平禅門の乱を風化させないために「129.3」という数字を全身に刻み込んだ可能性があります。ちなみに、ドラえもんが誕生したのは、2112年です。平頼綱は、800年以上も復活のときを待っていたのです。気が長いにもほどがあるわ。
ドラえもんとして蘇った平頼綱は、目にするもの全てに対して驚いたことでしょう。人間ではなくロボットとして蘇ったことは良いとして、身体が宙に浮いていることに驚愕したのではないでしょうか。ご存じの通り、ドラえもんは反重力装置の働きによって、地面から3mmほど浮いています。「元から存在自体が浮いているでしょう」というツッコミには耳を貸しません(そもそもドラえもんには耳がないので貸せない)。その独特の浮遊感に慣れるまでに、相当な時間がかかったのではないでしょうか。ご苦労様です。あと、「129.3」という数字は「いつクビになるのドラえもん」と覚えのが良いでしょう。アンキパンを使うまでもありません。
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