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カネコアヤノの曲が好きな理由

なぜカネコアヤノの曲はあれほどまでに良いのだろうか?そんなことをよく考えるけれど、「りぼんのてほどき」を聴いていたら、昔読んだ『ライ麦畑でつかまえて』や去年遂に“終劇”した『エヴァンゲリオン』といった他の作品とリンクする部分があるなと思いつきました。

「りぼんのてほどき」には以下のような歌詞があります。

“何とか生き抜いた なみだとかきわけた人ごみ あなたは強い人 あなたは強い人”
“何とか生き抜いた プレゼントボックスのりぼんを 体のかたちが変わっても 焦ってほどいてたい”

良い!良すぎるっ…😭!!日々の生活って思うようにいかないし、理不尽なこともたくさんある。そんな世の中でも「何とか生き抜いて」子どものような純粋さを忘れずにいたい、、何て良い歌詞なんでしょうか…!!と思うのだけど、まさにこの部分が先の2作品とダブるのです。

『ライ麦』や『エヴァ』は、不可逆的に大きくなる身体に対する精神の未成熟さがテーマの一つだと思っているのだけど、カネコアヤノの楽曲からも、そういうところを感じることがあるのです。

さらに、彼女の歌は、自分のそういった未熟な部分を認めつつも、“インチキ”だったり“理不尽”だったりする生活をどのように生きるか(生きたいか)を歌っているところがすごく良いのです。

彼女の歌を『ライ麦』に当てはめて表現するなら、“ライ麦畑の捕まえ役”でありたいと願うばかりでなく、麦畑の外でも“捕まえられ役”のような純粋さや感性を失わずに生きようとする態度がそれだと思うし、『エヴァ』的に言うのであれば、『シン・エヴァ』のラストがそうであったように、他者や過去を精算して未来を目指そうとする姿勢がそうだと思う。

それに、カネコアヤノの歌はあくまで自分事について歌い、他人をどうこうと歌ってはいないのもすごく良い。

多分そういう、辛い気持ちに同情するでも、無理やりに励ますでもなく、横に並んで同じ目線で前を向いて、凛とした態度で頑張っている人が隣にいるような、そんな気持ちにさせてくれるからこの人の歌は響くのだろうなと、そんな風に思ったのです。


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