『NOPE/ノープ』(監督・脚本:ジョーダン・ピール)
まず、映像に関わる学芸職という立場を横に置いておくと実はこういうものが大好物で、だから擁護するということではないが、ホラー映画はそもそも社会派なのである。よって、ジョーダン・ピール監督を「社会派ホラーの名手」と評の冒頭で安易に書いてしまうようなことは決してするまい。
だが、ここまでの短いキャリアをもってして「サスペンス映画の名手」とは言っても差し支えないだろう。優れたサスペンス映画とは何かについては『サスペンス映画史』(著者:三浦哲哉/2012年)をお勧めするが、ごく簡潔に、