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映画について書いたもの

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映画評や映画文化にまつわる文章。
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#仙台

Rocks Off(監督:安井豊作/2014年)(『セントラル劇場でみた一本の映画』より)

これは、『セントラル劇場でみた一本の映画』(2019年)というリトルプレスに寄稿したものである。2018年に閉館した宮城県仙台市の映画館「セントラル劇場(セントラルホール)」にまつわるエッセイを集めた本書は有志二人による企画で、その編集を手伝ったついでに自分も書いた。すでに入手困難なようなのでここに掲載する。 あれは「爆音映画祭 in 仙台2015」の年、2015年6月6日の夜である。爆音映画祭の始祖・boid主宰の樋口泰人氏との友情と個人的な趣味の問題として、当時各地で行

イレネオのために映画を

『ショートピース!仙台短篇映画祭2003』(2003年10月11-13日/せんだいメディアテーク)のために書いた文章である。初出:『ショートピース!仙台短篇映画祭2003 パンフレット』(2003年) 映画のはじまりは短篇であった。 それを単なる発明というより発見されるべきものとしてこの世に送り出したリュミエール兄弟が作った映画のなかでも、最も古いもののひとつに『工場の出口』という作品がある。文字通り工場の出口から次々と人が出てくる様子を撮影したもので、いくつかのヴァリエ

プチブルのひそかなたのしみ-凝視できない隣人を凝視するためのワイズマン-

この短い文章は、2002年5月30日付けのテキストファイルというだけで、何のために書いたのか思い出せない(思い出したら追記する)。しかし、当時せんだいメディアテークで企画した『映画への不実なる誘い』の打ち合わせか何かでお茶をご一緒しているとき、その講師である蓮實重彦氏からふと「あれ面白かったですよ」と言われたことだけは憶えているので、どこかに載ったものであることは間違いない。そして、たとえそれが社会人3年目になったばかり、映画をろくに知りもしないままの若造へのリップサービスだ