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映画について書いたもの

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映画評や映画文化にまつわる文章。
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#映画館の思い出

2023年に映画館で見た映画ベストテン

図らずも2023年の最後(12月29日)に映画館で見た映画が『ヘル・レイザー』(監督:クライヴ・バーガー/1987年)であったことが何をか暗示しているのかどうか、いまこの段階では考えあぐねているところだけれども、昨年からはじめて1年ほど経ったところでピタリと更新を行っていたnoteをひさしぶりに開く口実に今年もカレンダーに記された記録を遡りながら順不同で10本を選んでみる。 『カード・カウンター』(監督:ポール・シュレイダー) とても地味な作品と言えるだろうが、今年幾度と

Rocks Off(監督:安井豊作/2014年)(『セントラル劇場でみた一本の映画』より)

これは、『セントラル劇場でみた一本の映画』(2019年)というリトルプレスに寄稿したものである。2018年に閉館した宮城県仙台市の映画館「セントラル劇場(セントラルホール)」にまつわるエッセイを集めた本書は有志二人による企画で、その編集を手伝ったついでに自分も書いた。すでに入手困難なようなのでここに掲載する。 あれは「爆音映画祭 in 仙台2015」の年、2015年6月6日の夜である。爆音映画祭の始祖・boid主宰の樋口泰人氏との友情と個人的な趣味の問題として、当時各地で行