世界の名ボクサー:ドナルド・カリー⑤「シャープなパンチを持つコブラ」

80年代のスター。世界王座防衛戦&不運な結果に終わった試合。エデュアルド・ロドリゲス戦、ロイド・ハニガン戦、トニー・モンゴメリー戦、カルロス・サントス戦を紹介します。

ドナルド・カリー(アメリカ)
身長177cm:オーソドックス(右構え)

①ドナルド・カリー 2R KO エデュアルド・ロドリゲス
(WBA・WBC・IBF世界ウェルター級タイトル戦、1986年)
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでロドリゲスがダウン
(感想:カリーがタイトル防衛。ミルトン・マクローリーを下して世界ウェルター級王座を統一したカリー(24歳)。三つの王座を懸けた初防衛戦。挑戦者ロドリゲス(26歳)はパナマの選手で、これまで20勝(13KO)1敗(TV画面より。「BOXREC」によると負け数はもっと多い)。カルロス・トルヒーヨ(パナマ)に負けたが、再戦で雪辱してWBCの地域王座を獲得。このところ連勝中。カリーの地元テキサス・フォートワースでの一戦。サウスポーのロドリゲス。イラリオ・サパタのような「いかにもパナマのサウスポー」といった戦い方。やや前傾姿勢で右ジャブ、左ストレート。距離を取るボクサータイプ。カリーはいつものようにガードを上げてワンツー。左ストレートからの右ジャブといったテクニックを見せるロドリゲスだが、2Rに捕まる。左フックが効いたロドリゲス。カリーが左フックを中心とした接近戦を仕掛ける。左フックからの右ストレートでロドリゲスがダウン。倒れたまま10カウント。カリーが圧勝。サウスポーのテクニックは相手と距離を取ることによって効果を発揮するが、距離を詰められてロドリゲスはサウスポーの利点を生かすことができなかった。左フックが得意なカリーは相手がサウスポーでも特に問題としないうえに統一王者になった自信にあふれる戦いぶりだった。その後のロドリゲス。パワー不足なのか、勝ったり負けたり。フリー・オベル、ビクトル・コルドバ(いずれも元WBA世界スーパーミドル級王者)に敗北。しかし、面白い記録が。9RでのKO勝ちでIBFのインターコンティネンタル王座(ヘビー級)を獲得(1997年)。「何かの間違いなのではないか?」と思うような記録だ。)

ここから先は

2,399字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?