世界の名ボクサー:ティム・ウィザスプーン⑦ラスト「恐怖の強打」

WBA・WBC世界ヘビー級王者。ヨーロッパ遠征。アンドリュー・ゴロタ戦、ブライアン・ニールセン戦、グレグ・ペイジ戦(再戦)、デビッド・ボスティス戦ほかを紹介します。

ティム・ウィザスプーン(アメリカ)
身長192cm:オーソドックス(右構え)

①アンドリュー・ゴロタ 10R 判定 ティム・ウィザスプーン
(ヘビー級戦、1998年)
(感想:ウィザスプーンのプロ54戦目はヨーロッパでの試合。英国での試合経験はあるが、ポーランドは初めて。ゴロタはポーランド出身のゴツい白人。主戦場はアメリカ。中堅どころを相手にデビューから連戦連勝。しかし、リディック・ボウに不可解なローブローで二連続反則負け。ボウを苦戦させた試合が評価されてレノックス・ルイスのWBC王座に挑戦したが、何と1RでKO負け。その後、三連勝。直前の試合ではコーリー・サンダースに判定勝ちしている。ポーランド・ヴロツワフでの一戦。アップライトな姿勢で丁寧にジャブを打つゴロタ(セコンドにはルー・デュバ)。ウィザスプーンは例の「腕をクロスするディフェンス」で前へ。器用なゴロタ。スピードのあるジャブ、ワンツー、左フック、ボディ打ち。ただ、スピードがある分、一発一発は軽め。ウィザスプーンは大きなフックを空振り。4R終了間際、ゴロタがローブロー(ヘンなクセがついてしまっているようだ)。その後、ウィザスプーンがジャブ、ゴロタが左ボディ打ち。10R終了。判定は3-0。ゴロタが手数で勝利。ウィザスプーンのフックをラリー・ドナルドと同様、ダッキングで処理してポイントを積み上げた。加速できなかったウィザスプーン。このあたりが潮時だったと思うが、まだまだキャリアは続く。ゴロタはその後、マイク・タイソンと戦ったり(ノーコンテスト)、数度の世界挑戦をしたり(結果的にWBA・WBC・IBF・WBO王座に挑戦したが、一度も勝てず)。強いところ(左ボディ打ちなど)もあったが、細かいボクシング。大きな試合を落としてしまうキャリアだった。)

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