世界の名ボクサー:レイ・マーサー①「無慈悲なパワーのヘビー級」

WBO世界ヘビー級王者。ソウル・オリンピック金メダリスト。プロデビュー当初の試合。ジェシー・マクギー戦、デビッド・ホプキンス戦、トレーシー・トーマス戦ほかを紹介します。

レイ・マーサー(アメリカ)
身長185cm:オーソドックス(右構え)

①レイ・マーサー 3R TKO ジェシー・マクギー
(ヘビー級戦、1989年)
(ダウンシーン)
3R:連打でマクギーがダウン
(感想:「Merciless(無慈悲)」と呼ばれた強打者マーサー。フロリダ州ジャクソンビル出身。子供の頃は様々なスポーツをやってみたがチーム競技には向いていなかった、とのこと(個人競技をやっている選手によくあるパターン)。学校を卒業後は軍隊へ(最終的な階級は「sergeant(軍曹)」)。23歳の時、西ドイツで軍人として勤務しながらボクシングを始めた。アマ時代の最大の実績は1988年ソウル・オリンピック。ヘビー級で金メダル獲得。1989年、28歳でプロ転向(遅いデビュー)。このマクギー戦はデビュー戦。マクギーはこれまで6勝(4KO)2敗。アトランチックシティ「コンベンションセンター」での一戦(「アイラン・バークレー vs. ロベルト・デュラン」のWBC世界ミドル級タイトル戦の前座カード。デュランが四階級制覇)。小柄なマクギー(身長170cm)。マーサーもそれほど大きい方ではないが、向かい合うと階級が違う選手に見える。マーサーが左手を下げた構えでジャブ、ワンツー、フック連打。マクギーはマーサーの懐に飛び込もうと接近し、ボディにフック攻撃。動き自体はあまり速くないマーサー。時折ジャブ、右フックを食う。ただし、パンチにはキレがある。3R、右ストレートからの連打でマクギーがうつぶせにダウン。倒れる前にロープダウンを取ろうとしたレフェリーだが倒れたマクギーを見て、試合を止めた。やや相手の攻撃を持て余しながらもマーサーが強打で勝利。畳み掛ける連打が素晴らしかった。デビュー戦で後の試合でも見せる攻撃パターンを見せたマーサー。既にスタイルが完成。デビューが遅いため、それも当然か。マクギーは後、ブルース・セルドン、ジェームス・スミスらに敗北。タフな男だったが、体格的にヘビー級では無理があったようだ。)

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