世界の名ボクサー:アイラン・バークレー⑤「ブロンクスの強打者」

世界三階級王者。世界戦での連敗&復活。マイケル・ナン戦、ナイジェル・ベン戦、ダーリン・バン・ホーン戦、トーマス・ハーンズ戦(再戦)ほかを紹介します。

アイラン・バークレー(アメリカ)
身長185cm:オーソドックス(右構え)

①マイケル・ナン 12R 判定 アイラン・バークレー
(IBF世界ミドル級タイトル戦、1989年)
(感想:ナンがタイトル防衛。トーマス・ハーンズをKOしてWBC世界ミドル級王座を獲得したバークレーだが、初防衛戦でロベルト・デュランに判定負け、王座陥落。その再起戦でナンに挑戦。実は目を痛めているバークレー。この試合でその影響が出るのかどうか。王者ナンはアイオワ州出身のスーパースター候補。ニックネームが「セカンド・トゥ・ナン」(「並ぶ者ナシ=最強」の意)。アマチュア時代のライバルであるフランク・テートを下してIBF王座奪取。ファン・ドミンゴ・ロルダン、スンブ・カランベイを下して二度の防衛成功。ナンをバックアップしているボブ・アラムも満足。これからはナンの時代、といった状況。ネバダ州リノでの一戦(会場ではデュラン、俳優ミスターTが観戦)。荒っぽいバークレー。右ストレート、必殺の左フックを振るう。ナンはジャブ、ストレート、フックで応戦し、左アッパーからの右フックといったコンビネーションも入れる。接近戦。フックで打ち合い。打たれながらも攻めるバークレー。ナンはこれでは不利になると考えたか、距離を取ってジャブ、カウンター作戦。中盤以降は特に足をよく使うナン。バークレーは時折パンチを当てるが、逃げられてしまう。12R終了。判定は2-0。ナンがアウトボクシング、パンチの正確さで勝利。バークレーはあまり器用なタイプではない。強打が炸裂しないときはこういった負け方をしてしまいがち。防衛に成功したナンだが、そのエキサイティングではない試合ぶりにアラムが激怒。プロモート契約解除。元々ナンはそれほどパンチが無い。タフな強打者バークレーを巧くさばいた、と個人的には思うが、アラムはナンに対して厳しい態度を取った。その後のナン。マーロン・スターリング、ドナルド・カリー相手に防衛成功。しかし、ジェームス・トニーにKOされて王座陥落、初黒星。WBA世界S・ミドル級王座を獲得して二階級制覇したが、パワー不足のため王座は長続きせず。そして、犯罪で長期刑。「スーパースター候補」がバークレー戦を境に残念な人生となっていった。)

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