世界の名ボクサー:モハメド・アリ⑩ラスト「ザ・グレーテスト」
世界ヘビー級王者。全盛期を過ぎてもリングへ。レオン・スピンクス戦(初戦・再戦)、ラリー・ホームズ戦、トレバー・バービック戦(ラストファイト)を紹介します。
モハメド・アリ(アメリカ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)
①レオン・スピンクス 15R 判定 モハメド・アリ
(世界ヘビー級タイトル戦、1978年)
(感想:スピンクスがタイトル獲得。アリの11度目の防衛戦(78年初試合、2月)。挑戦者スピンクスはミズーリ州セントルイス出身の黒人。いわゆる「ゲットー」で育った(弟マイケルは後に世界L・ヘビー、ヘビーで二階級制覇)。ボクシングを始めた動機は成功して劣悪な環境から脱出するため。アマチュアで優秀な成績。1976年のモントリオール・オリンピックでライトヘビー級金メダル。プロ入り後はこれまで無敗(一つの引き分け)。といってもこれまで七試合しか経験しておらず、世界ランキングに入っていない。「グレーテスト」アリに挑戦するにはまだ早い、というのが世間の評価。しかもスピンクスは試合前にケガ。鎮痛剤を使った状態で戦い抜かねばならない。アリは前回の防衛戦で強打者アーニー・シェイバースに大苦戦。「楽な相手」スピンクスに手堅く勝利したいところ。ラスベガスでの一戦。1R開始早々、ジャブと左右フックでアリを押しまくるスピンクス。アリは両腕を高く上げてガードしたり、ジャブで距離を取ろうとしたりするがスピンクスを止めることができない。しかもスピンクスのジャブは伸びがあり、ジャブの打ち合いでもアリに負けていない。最終ラウンド、激しく打ち合って15R終了。判定は2-1。最初から最後まで攻め続けたスピンクスが勝利。2-1は意外な感じもする。オリンピック金メダルのスピンクスがプロでアリを破って世界ヘビー級タイトルを獲得。ボクサーが夢見る「最高のもの」を手に入れて大満足だっただろう(その後、まさにこの時が絶頂期だったことが証明される)。アリは打ち返していたがパワーが無かった。ケン・ノートンがかつて世界戦でアリを攻めまくったことがあった。しかしその時はノートンの手数が少なくなる場面もあってアリが何とか判定でタイトルを防衛したが、スピンクスは攻め続けた。最早、アリの時代ではない。)
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