世界の名ボクサー:マイク・タイソン⑧「強打の鉄人」

世界ヘビー級王者。史上最年少で頂点に。世界王座防衛戦&全盛期の終焉。マイケル・スピンクス戦、フランク・ブルーノ戦、カール・ウィリアムス戦、ジェームス・ダグラス戦を紹介します。

マイク・タイソン(アメリカ)
身長178cm:オーソドックス(右構え)

①マイク・タイソン 1R KO マイケル・スピンクス
(世界ヘビー級タイトル戦、1988年)
(ダウンシーン)
1R:右ボディフック、右フックで2度、スピンクスがダウン
(感想:タイソンがタイトル防衛。ついに実現した因縁の試合。挑戦者スピンクスは元統一世界L・ヘビー級王者だった過去。L・ヘビーでは大金を稼げるような相手がいないため、ヘビー級に転向。ラリー・ホームズをまさかの番狂わせで破ってIBF世界ヘビー級王者に。スピンクスもタイソンと同様、「ヘビー級王座統一トーナメント」に出場し、勝ち進めばタイソンと戦っていたはずだが、トーナメントから離脱。「タイソンから逃げた」ということで評判はよろしくない状況になったが、未だに全勝を守っている。試合前、スピンクスは「1Rでケリをつけてやる」とコメント(もちろん、これは「1Rで勝つ」という意味で言ったのだと思うが)。アトランチックシティ「コンベンション・ホール」で行われた注目の全勝対決。1R、左ジャブと左右フックでタイソンが猛攻。スピンクスは左ジャブと右ストレートで応戦。ひじ打ちをレフェリーから注意されたタイソンだが、ロープ際での右ボディでスピンクスからダウンを奪う。再開直後、右フックでスピンクスが二度目のダウン。凄まじいパンチによりロープに顔からもたれ、スピンクスは立てず、完全KO。タイソンが圧勝。スピンクスを問題とせず。本来ならばトーナメントで対戦していたはずの両者。スピンクスはこうなることがわかっていてトーナメントから離脱したのだろう(危険なタイソンを避けてカネになるゲーリー・クーニーとの試合を選び、IBFタイトルを放棄したスピンクス。「逃げた」「チキンハート」などど言われたが、搾取されて引退後は資産も無い状態になっているボクサーが多いことを考えると、「危険な相手とやるより、少しでも多く稼ぎたい」というスピンクスの気持ちもよくわかる)。その後の二人。タイソンはプライベートでのドタバタでトラブル。スピンクスはこれが最後の試合となり、引退後は映画『キャノンボール3 新しき挑戦者たち』(1989年)に出演した。)

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