世界の名ボクサー:モハメド・アリ③「ザ・グレーテスト」

世界ヘビー級王者。世界王座防衛戦&全盛期の終わり。クリーブランド・ウィリアムス戦、アーニー・テレル戦、ゾラ・フォーリー戦、その後を紹介します。

モハメド・アリ(アメリカ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)

①モハメド・アリ 3R TKO クリーブランド・ウィリアムス
(世界ヘビー級タイトル戦、1966年)
(ダウンシーン)
2R:ワンツー、右ストレート、右ストレートで3度、ウィリアムスがダウン
3R:右ストレートでウィリアムスがダウン
(感想:アリがタイトル防衛。このところヨーロッパでの防衛戦が続いたアリがアメリカで7度目の防衛戦(プロ27戦目。66年最後の試合、11月)。挑戦者ウィリアムスはジョージア州の農家出身の黒人で、ニックネームは「ビッグキャット」。身長は188cmであるが、リーチは203cmある。14歳でプロ入り。しかし、これはルール違反。18歳になるまで出場停止処分に。改めてリングへ。陸軍入隊で再びキャリア中断。ボブ・サタフィールド、ソニー・リストンにKO負け、アーニー・テレルに判定負け。テレル戦後は連勝。KO勝ちが多い「エキサイティングな選手」という評価。しかし、1964年11月28日。ハイウェイを運転中、スピード違反で警察に止められてトラブル。警官に撃たれ、重傷。カムバックして四連勝でこの世界初挑戦。ケガの後遺症が気になるがどんな内容となるか? テキサス州ヒューストン「アストロドーム」での一戦。快調のアリ。いわゆる「アリ・シャッフル」をしながらジャブ、左フック、ワンツー、連打。ウィリアムスはアップライトスタイルでジャブ。しかしながら、動きが緩慢でアリを追い込めない。2R、ワンツーでウィリアムスがダウン。立ったが、連打からの右ストレートで二度目のダウン。三度目は左フック連打からの右ストレート(実に美しいコンビネーション)。大の字に倒れたウィリアムスだが、このラウンドはゴングに救われた(救われない方がよかったような気も)。3R、右ストレートでウィリアムスがダウン。仕留めにかかるアリがワンツー、連打。ジャブで抵抗するウィリアムスだが、左フックを食らったところでレフェリーストップ。アリが圧勝(その芸術的な倒しっぷりから「アリの最高試合」とも言われている)。右ストレートが効果的だった。一方、アリの引き立て役となったウィリアムス。ジャブを出す程度で「パワーファイター」の印象は無し。やはり警官に撃たれたことにより力を失ったのであろう。その後もウィリアムスは多くの試合。テキサス州王座を獲得する活躍もあったが、世界戦はアリ戦のみ。引退後の1999年に66歳で死去。車にはねられたのが原因だが、その前から体調が悪化していたという。)

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