世界の名ボクサー:ラリー・ホームズ⑧ラスト「イーストンの暗殺者」

WBC・IBF世界ヘビー級王者。ついに最後の試合。モーリス・ハリス戦、ジェームス・スミス戦(再戦)、マイク・ウィーバー戦(再戦)、バタービーン戦を紹介します。

ラリー・ホームズ(アメリカ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)

①ラリー・ホームズ 10R 判定 モーリス・ハリス
(ヘビー級戦、1997年)
(感想:プロ71戦目をデンマークで行ったホームズ。地元のヒーロー、ブライアン・ニールセンに2-1で敗北。この試合にはIBO王座が懸かっていたが、これまでメジャー団体の世界戦でしか敗北が無かったホームズにとってこのマイナー王座戦での負けは「引退」を考えさせる理由になったはず。ハリス戦はその再起戦。ハリスはニュージャージー州の黒人。身長は193cmでホームズより少し高い。16歳でプロデビュー(判定負け)。勝ったり負けたりだったが、当時全勝だったデビッド・イゾンリティに判定勝ち。タフなパワーファイター、ジミー・サンダーをKO。そして、このホームズ戦。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン・シアター」での一戦(会場ではゲーリー・クーニーが笑顔で観戦。ジョージ・フォアマンに思いっ切りKOされたときは「死んだのでは?」と思ったほど痛烈な倒れ方だったが、元気そうでよかった)。ジャブ、ワンツーで攻めるホームズ(以前はよくロープを背負って休む「省エネボクシング」をやっていたが、この試合では常に前に出る姿勢だった)。ハリスは赤い派手なトランクス。しかし、試合ぶりはディフェンシブで地味な印象。ガードを上げてジャブ、右ストレート。左フックは振りが大きめ。左のテクニックを持っているが、ホームズをKOするような腰の入った打ち方ではない。互いにジャブ。5Rにハプニング。ハリスのワンツーでホームズがグラり。その後もハリスは受け身ながらも良いジャブ。ホームズは前に出るが、打ち返されてパッとしない(身体は相変わらずゴツいが、動きや表情が「オジサン」といった感じだった)。10R、最後はホームズが攻められて試合終了。判定は僅差の2-1。互いにジャブを打ち合った試合。攻めの姿勢でかろうじてホームズは勝利したが、動きの反応に鈍さが。このあたりが限界か。ハリスはもっと積極的になるべきだった。その後、ハリスは連勝。しかし、クリス・バードとの全米王座決定戦に判定負け(2001年)。ブランクを作りながらも現役続行。2010年、全米王座を決定戦で獲得。防衛にも成功。キャリアを通じて勝ったり負けたりで安定しなかったが、戦い続ける根性には立派なものがあった。)

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