世界の名ボクサー:レイ・マーサー⑤「無慈悲なパワーのヘビー級」

WBO世界ヘビー級王者。実力者と対戦&ブランク後の試合。レノックス・ルイス戦、ティム・ウィザスプーン戦、レオ・ロイアコノ戦、ジェフ・ペグース戦ほかを紹介します。

レイ・マーサー(アメリカ)
身長185cm:オーソドックス(右構え)

①レノックス・ルイス 10R 判定 レイ・マーサー
(ヘビー級戦、1996年)
(感想:プロ28戦目。イベンダー・ホリフィールドに判定負けしたマーサー。約一年ぶりの再起戦。相手は実力者(それでよいと思う。楽に勝てる相手をKOしても仕方がない)。ルイス(英国。WBC1位)との「金メダル対決」。共に1988年のソウル・オリンピックで金メダルを獲得。ルイスはスーパーヘビー級、マーサーはヘビー級。共に右強打が武器。ルイスはプロデビューから全勝でWBC王者になったが、パワーファイターのオリバー・マッコールに豪快なKO負け、初黒星、王座陥落。再起後、連勝。直前の試合では「ホワイトホープ」トミー・モリソンにTKO勝ちしてマイナー団体の王座を獲得している。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦。ドレッドヘアーを頭の頂点で束ねているルイス(パイナップルみたいな頭)。セコンドには「クロンクジム」のエマヌエル・スチュワード。距離を取ってジャブ、ワンツー。マーサーは後ろ姿がマイク・タイソン。ジャブ、接近して右ストレート、フック。右ストレートが得意のルイスだが、右アッパー、左ボディ打ちも巧い。中間距離ではジャブを連打するルイス、接近戦ではパワーのマーサー、といったところか。互いにディフェンス、クリンチ。6R、マーサーが激しい連打。7R、ルイスがコンビネーション。その後、右目を腫らしながらもルイスがジャブ、ワンツーの丁寧なボクシング。10R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定は2-0。ルイスの手数が評価されたらしい。マーサーは残念。ディフェンスの甘い相手にラッシュをかけてぶっ倒すのが彼の試合の醍醐味だが、ディフェンスができる相手だとそうはならない。「マーサーの限界」が見られた一戦だった。ルイスは次の試合でマッコールを破ってWBC王座奪回。イベンダー・ホリフィールド、マイク・タイソンにも勝利。WBA、IBF王座も獲得する活躍を見せた。)

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