世界の名ボクサー:フロイド・パターソン②「ガゼルパンチの使い手」

世界ヘビー級王者。初の世界王座戦&防衛戦。アーチー・ムーア戦、トミー・ジャクソン戦(再戦)、ピート・ラデマッハー戦、ロイ・ハリス戦ほかを紹介します。

フロイド・パターソン(アメリカ)
身長183cm:オーソドックス(右構え)

①フロイド・パターソン 5R KO アーチー・ムーア
(世界ヘビー級王座決定戦、1956年)
(ダウンシーン)
5R:左フック、連打で2度、ムーアがダウン
(感想:パターソンがタイトル獲得。世界ヘビー級王者ロッキー・マルシアノが王者のまま引退。新王者を決める「エリミネーション・トーナメント」を勝ち進むパターソン(21歳)がムーアと王座決定戦。ムーアは世界L・ヘビー級王者。年齢は42。しかし、驚異的なコブシの頑丈さ、腕をクロスさせる独特のディフェンステクニックの持ち主。年齢では測れない強さがある。マルシアノの世界ヘビー級王座に挑戦したときは9RでKO負け。(1955年)。二度目の世界ヘビー級王座チャレンジはどんな内容となるか? シカゴでの一戦。ムーアが左のガードを下げた構えからジャブ。右ストレート、左フックが強い。パターソンはジャブと連打。両者、足を止めての打ち合い。5R、パターソン得意の飛び込んで打つ左フック(ガゼルパンチ)がヒットしてムーアがダウン。立ったもののダメージが深いムーアは連打でさらにダウン、KO。若いパターソンが新王者に(「21歳10カ月26日」で史上最年少の世界ヘビー級チャンピオン。その記録はマイク・タイソン(パターソンの「弟弟子」にあたる)が1986年に「20歳4カ月23日」でWBC世界ヘビー級王座を獲得して更新。また、パターソンは「プロのヘビー級タイトルを獲得した最初のオリンピック金メダリスト」でもある)。42歳の相手に勝っても自慢にはならないかもしれないが、ムーアはパワーがあって決してイージーな相手ではなかった。事実上のフィニッシュになった(最初のダウンを奪った)パターソンの左フックはかなり強烈なもの。敗れたムーアはこれで世界ヘビー級王座を目指すのを諦めた。)

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