世界の名ボクサー:アズマー・ネルソン④「アフリカの野生児」

世界二階級制覇王者。三階級制覇挑戦&J・ライト級王座防衛戦。パーネル・ウィテカー戦、ファン・ラポルテ戦、ジェフ・フェネック戦(初戦)ほかを紹介します。

アズマー・ネルソン(ガーナ)
身長165cm:オーソドックス(右構え)

①パーネル・ウィテカー 12R 判定 アズマー・ネルソン
(WBC・IBF世界ライト級タイトル戦、1990年)
(感想:ウィテカーがタイトル防衛。ガーナの強打者ネルソン(31歳)。90年初試合(5月)は三階級制覇挑戦。ディフェンスが巧い王者ウィテカーに強打が通用するかどうか? 当時ウィテカー(26歳、バージニア州ノーフォーク出身の黒人サウスポー)はグレグ・ホーゲン、ホセ・ルイス・ラミレスを破り、IBF次いでWBCの世界ライト級王座獲得。直前の試合ではフレディ・ペンドルトン(後、IBF王座獲得)を判定で下して防衛に成功している。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦。シャープでパワーのある右ストレート、左右フックで前進するネルソン。ウィテカーは距離を取り、前に出てくるネルソンにジャブ、左ストレートカウンター。ジャブが少ないネルソン。精力的に攻めるが、ディフェンスされてしまう。一方のウィテカーも得意のボディ打ち連打を見せるが、受け身の姿勢で相手を倒すような攻めをしない。時折右を当てるネルソン。相手の足をつかむ反則をするウィテカー。12R終了。判定は僅差の3-0。微妙な内容。「統一世界ライト級王者」にしては終始受け身でイマイチな試合ぶりだったウィテカー。ジャブの巧さは相変わらずではあったが。ネルソンはもっとジャブを出すべきだった(左ヒジを痛めていたと後に告白)。その後のウィテカー。次の試合でファン・ナサリオを1RでKOしてWBA王座も吸収。その後は階級を上げ、IBF世界J・ウェルター級王座、WBC世界ウェルター級王座、WBA世界J・ミドル級王座を獲得、四階級制覇。最大のライバルであるフリオ・セサール・チャベスを相手に分のいい引き分けを演じた。)

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