世界の名ボクサー:ジェフ・フェネック④ラスト「オーストラリアのケンカ屋」
世界三階級王者。四階級制覇に挑戦。アズマー・ネルソン戦(初戦・再戦)、カルビン・グローブ戦、ティアラノ・トバール戦、フィリップ・ホリデー戦を紹介します。
ジェフ・フェネック(オーストラリア)
身長172cm:オーソドックス(右構え)
①アズマー・ネルソン 12R 引分 ジェフ・フェネック
(WBC世界J・ライト級タイトル戦、1991年)
(感想:ネルソンがタイトル防衛。これまで25戦全勝(19KO)のフェネック(27歳)が四階級制覇に挑戦。34勝(25KO)2敗の王者ネルソン(32歳)はガーナの黒人。サルバドル・サンチェスのWBC世界フェザー級王座に挑戦したときは負けたが善戦だったことで国際的な認知を得、ウィルフレド・ゴメスを叩きのめして同王座獲得。フェザー級で圧倒的な強さを見せた後、決定戦でマリオ・マルチネスを判定で下してWBC世界J・ライト級王座獲得、二階級制覇。J・ライト級でも強さを見せつけた後、パーネル・ウィテカーのWBC・IBF世界ライト級王座に挑戦したが判定負け。J・ライト級王座の防衛に専念。フェネック戦は六度目の防衛戦となる。ラスベガス「ミラージュ」での一戦(「マイク・タイソン vs. ドノバン・ラドック」の再戦が行われた興行。リングアナはジミー・レノン・ジュニア、レフェリーはジョー・コルテス。会場ではクリント・イーストウッド、チャック・ノリス、ブルース・ウィリス&デミ・ムーア、マイケル・ジョーダン、トーマス・ハーンズ、フリオ・セサール・チャベスらが観戦)。まずは歌手による両国国歌の独唱。ゴング。開始から接近するフェネック。ネルソンは距離を取って強打。パワーを込めた右ストレート、左フックが特に強烈。また、ワンツーからの左ボディといったコンビネーションも迫力。2R、ネルソンがピョンピョン飛び跳ねるようなフットワーク&ジャブ(ネルソンはこれをよくやる。気に入っているようだ)。3R、フェネックの右ストレートでネルソンがクリンチに逃げる。しかし、フェネックも左目下をカット。互いにディフェンス。手数で攻めるフェネック。パワフルに応戦するネルソン。9R終了時にハプニング。ラウンド終了と同時にネルソンの左フックがヒット。激怒したフェネックは蹴りまで出して報復(カッカしやすいタイプ)。10Rにはさらにエキサイト。フェネックの左フックがレフェリーに誤爆。10R終わりにはネルソンをプロレス技のショルダースルーで投げ飛ばす。12R、フェネックの右ストレート、連打でネルソンがピンチ。12R終了。判定はドロー。「そんなバカな」といった表情のフェネック。「絶対、自分が勝った」と試合後、涙を流して悔しがった。プロボクシングはパワーを評価する世界。「一発のパワー」はネルソンが上だった。しかも、ネルソンはディフェンスもできる。かつてモハメド・アリの世界王座にケン・ノートン、アーニー・シェイバースが挑戦した時、ノートン、シェイバースは精力的に手数を出してアリを防戦一方に追い込んだことがある。しかし、アリはディフェンスしながら正確なショートパンチ。結果は「アリの判定勝ち」。この「ネルソン vs. フェネック」もジャッジはネルソンの正確さを評価したのではないだろうか? 試合後、ネルソンはフェネックに再戦を約束。)
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