世界の名ボクサー:ドノバン・ラドック④ラスト「カナダのスマッシュ」

ヘビー級のカミソリ・ハードパンチャー。惨敗&その後の試合。トミー・モリソン戦、グレグ・ペイジ戦、フィル・ジャクソン戦、レノックス・ルイス戦を紹介します。

ドノバン・ラドック(カナダ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)

①トミー・モリソン 6R TKO ドノバン・ラドック
(IBCヘビー級王座決定戦、1995年)
(ダウンシーン)
1R:右アッパーでモリソンがダウン
2R:ラドックがロープダウン
6R:左フック、連打でのスタンディングダウンで2度、ラドックがダウン
(感想:モリソンがタイトル獲得。レノックス・ルイスに痛烈なKO負けを喫したラドック。マイク・タイソンと凄まじい試合をした男にしては意外な惨敗だった。再起戦に勝利。そしてこのモリソン戦。モリソンはアーカンソー州出身の白人で、元WBO王者。映画『ロッキー5/最後のドラマ』に出演したりといった売り出し方により「ホワイトホープ」「次期スーパースター」と呼ばれていたがKO負けでWBO王座を失い、今ではすっかりベテランに。ミズーリ州カンザスシティで行われた「IBC」なる団体のタイトルを懸けた一戦(「敗者復活戦」のような雰囲気の試合)。1R、ラドックの強打を警戒してジャブを使うモリソン。しかし、右アッパーでダウン。2R、今度は逆に右アッパーが効いたラドックがロープダウンを取られる。パワーはあるが打たれ弱さがある両者。互いにダウンしてスリリングな展開に。ラドックはジャブは良いが、得意の左パンチ「スマッシュ」を狙いすぎ。6R、強烈な左フックでラドックがダウン。立ったが、連打されてスタンディングカウントを聞く。さらに連打でストップ。「なぜ止める?」といった表情のラドック(タイソンとの第一戦で見たような表情)。ヘビー級の強いパンチが連続でヒットしたらレフェリーとしても止めざるを得ない。倒し倒されの激戦。エキサイティングではあったが、やはり共に打たれ弱い(なぜ打たれ弱いのだろう? 身体自体はよく鍛えられているように見える。ラドックは口が半開きで試合をする。そこを打たれるからかもしれないが、モリソンは半開きではない)。何とか勝ったモリソンだが、次の試合の相手はレノックス・ルイス。KO負けし、その試合が事実上のラストファイトとなった。)

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