世界の名ボクサー:ロジャー・メイウェザー⑥ラスト「黒い毒蛇」

世界二階級制覇王者。世界王座陥落後。リビングストン・ブランブル戦、カール・グリフィス戦、ダリル・タイソン戦、コンスタンチン・チュー戦ほかを紹介します。

ロジャー・メイウェザー(アメリカ)
身長171cm:オーソドックス(右構え)

①ロジャー・メイウェザー 5R TKO リビングストン・ブランブル
(ウェルター級戦、1993年)
(ダウンシーン)
4R:右フックでブランブルがダウン
(感想:1983年にサムエル・セラノを豪快にKOして全勝のまま若くしてWBA世界J・ライト級王者になったメイウェザー。しかし、本来の打たれ弱さが災いしてKOで初黒星、フリオ・セサール・チャベスに二連敗。ラファエル・ピネダとのIBF世界J・ウェルター級王座決定戦ではワンパンチでKO負け(1991年)。再起したが、中堅相手に判定負け。確実に時は過ぎていっている。ブランブル戦は93年初試合(3月)で、プロ51戦目。 ブランブルはセントクリストファー・ネイビス連邦出身の黒人。スラリとしたボクサータイプ。レイ・マンシーニを滅多打ちにしてWBA世界ライト級王座を奪ったのが1984年。三度目の防衛戦でエドウィン・ロサリオに2RでKO負け、王座陥落。その後、北米J・ウェルター級王座を獲得するなどの活躍もあったが、フレディ・ペンドルトン、チャールズ・マレーらを相手に多くの敗北。ロサリオ戦後は一度も世界挑戦無し。ただし、ここ最近の負けは判定によるものが多く、タフネスとテクニックは健在。決して「過去の選手」ではない。ラスベガスでの一戦(レフェリーはジョー・コルテス)。1R、気合いが入っているブランブル。ワンツーで先制攻撃。メイウェザーには「アゴ」という弱点があるため、一発狙ってやろうということか? 攻めるブランブルにメイウェザーが応戦。接近戦が続く。互いにストレート、フック、ボディ打ち、アッパー。しかし、ブランブルが闇雲に連打するのに対し、メイウェザーは相手のガードの隙を突くコンビネーション(左ボディからの左フック、右アッパーなど)。4R、見事な右フックでブランブルがダウン。立ったが、ダメージ。ラウンド終了間際には右ストレートを食う。5R、ロープ際でメイウェザーの右パンチが入ったところでブランブルのセコンドが棄権を申し入れて試合終了。メイウェザーがディフェンス&コンビネーションで勝利。パンチの鋭ささえあればまだまだ活躍できそう。ブランブルはよく頑張ったが、そこまで。なぜ、負けが多いのかを物語る動き。ディフェンスができる相手に無闇に連打しても当たらない。「隙を突く巧さ」でメイウェザーに劣っていた。その後もブランブルは負けを増やしながらも現役続行。当時の実力者と多く戦い、ラストファイトは2003年。息の長いリング生活となった。)

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