世界の名ボクサー:ティム・ウィザスプーン⑤「恐怖の強打」

WBA・WBC世界ヘビー級王者。全米王座に挑戦。ホセ・リバルタ戦、カール・ウィリアムス戦、アート・タッカー戦、ジミー・リー・スミス戦ほかを紹介します。

ティム・ウィザスプーン(アメリカ)
身長192cm:オーソドックス(右構え)

①ティム・ウィザスプーン 10R 判定 ホセ・リバルタ
(ヘビー級戦、1990年)
(感想:これまで32勝(22KO)3敗のウィザスプーン(32歳)。ジェームス・スミスにKOされてWBA世界ヘビー級王座から陥落してからは中堅選手を相手にしてきたが、今回は実力者。31勝(22KO)4敗1分のリバルタ(27歳。WBA6位、WBC9位)はキューバ出身で背の高い選手(195cm)。ただし、背が高い選手にはよくあることだが、パワーはそこそこ。マイク・タイソンにTKO負けした試合はあまりにも有名。シアトルでの一戦(リングサイドでモハメド・アリが観戦。まるで銅像のように動かない。体調が悪化しているようだ)。ボクサータイプのリバルタ。足でリズムを取って伸びのあるジャブ。しかしながら、相手と距離を取るアウトボクシングで、積極的に前に出ない。そんなリバルタを追うウィザスプーンだが、動きの機敏さに欠けているため「攻めてはクリンチ」のパターン。互いに良いジャブ。ウィザスプーンは得意の右フック、リバルタは右カウンター、左ボディ打ち。良いパンチを持っているリバルタだが、攻めないのが惜しい。攻めようとするウィザスプーン、受けに回るリバルタ、のパターンで10R終了(会場のファンが拍手)。判定は2-0。攻めの姿勢でウィザスプーンの勝利。ただ、ピークを過ぎ、動きのキレに欠けていた。そんな状態で何を目指すというのか? リバルタはその後、ブルース・セルドン、マイケル・ドークス、トニー・タッブスらに敗北。北米王座戦でKO負け。タイトルには縁が無かった。)

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