世界の名ボクサー:ウィルフレド・ベニテス④ラスト「史上最年少の世界王者」

世界三階級制覇王者。最後の世界戦&その後。トーマス・ハーンズ戦、ムスタファ・ハムショ戦、デビー・ムーア戦、マシュー・ヒルトン戦、パット・ローラー戦ほかを紹介します。

ウィルフレド・ベニテス(プエルトリコ)
身長178cm:オーソドックス(右構え)

①トーマス・ハーンズ 15R 判定 ウィルフレド・ベニテス
(WBC世界J・ミドル級タイトル戦、1982年)
(ダウンシーン)
5R:右ストレートでベニテスがダウン
9R:左ジャブでハーンズがダウン
(感想:ハーンズが二階級制覇。二度目の防衛戦でロベルト・デュランを判定で下したベニテス。次の挑戦者も大物(これでベニテスはレナード、デュラン、ハーンズと対戦。今となってはまさに「伝説の時代」)。WBC1位の挑戦者ハーンズは説明不要。テネシー州出身の黒人。5歳の時にミシガン州デトロイトに移住。ここは最悪の犯罪都市。「周囲のワルからナメられないようにするため」ボクシングを選択。13歳で「クロンクジム」に入門。アマチュアでは155勝8敗。しかし、RSC(KO)勝ちはわずか「12」。背は高いが、パワー無し。プロ入り後は一転してパワーアップし、「倒し屋」に。ピピノ・クエバスからWBA世界ウェルター級王座を奪取したが、世界ウェルター級王座統一戦でレナードに敗北。その後、連勝。これまで35勝(32KO)1敗。世界ミドル級王者マービン・ハグラーへの挑戦が決まったが、試合直前に右手を痛めて試合が流れた。ターゲットをハグラーからベニテスに変更。ニューオリンズ「スーパードーム」での一戦(会場ではラリー・ホームズ、レナードが観戦)。ゴング前、至近距離でニラみ合い(両者とも凄い貫禄。まさにビッグマッチの雰囲気)。共にスリムな体型だが、ハーンズの方が背が高い。ハーンズがいつものように鼻をこすりながら左ジャブ、ワンツー。接近戦では左ボディを打つ。ベニテスは真っ向から打ち合っては不利と考えたか、ジャブ、右カウンターで受け身の姿勢。攻めるハーンズだが、ベニテスはヘッドスリップで攻撃をかわして正確な左ジャブ。5R、右ストレートでベニテスがダウン。6Rもハーンズの右でベニテスがピンチ。9R、ハーンズがバランスを崩したところに左ジャブがヒットしてダウン(ダメージはほぼ無し)。一貫して受け身の姿勢のベニテス。10R、ハーンズが「打ってこい」と挑発。終盤は足とジャブのハーンズ。ベニテスは前に出るが、カウンターを食う(序盤・中盤と逆のパターン)。15R終了。互いに健闘を称える。判定は2-0。ジャブで先手を取り続けたハーンズが評価された。ベニテスはカウンターを取る巧さはあったが、試合の主導権を握るような精力的な試合ぶりではなかった。「2-0」は意外だったような気がする(そして、もっと意外なことにベニテスはこれが最後の世界戦に)。その後のハーンズ。見事に二階級を制覇したが右手を負傷し、ブランク。このケガは尾を引き、重要な試合で負けたり、意外な伏兵に苦戦したり。最終的には五階級制覇する長いキャリアとなったが、右拳の不調により「ヒットマン」らしくない試合をしてしまうことがよくあった。)

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