世界の名ボクサー:シュガー・レイ・レナード⑦「超特急と呼ばれた男」
80年代のスター。世界5階級制覇王者。引退、カムバック、番狂わせ。ブルース・フィンチ戦、ケビン・ハワード戦、マービン・ハグラー戦、ドニー・ラロンデ戦を紹介します。
シュガー・レイ・レナード(アメリカ)
身長178cm:オーソドックス(右構え)
①シュガー・レイ・レナード 3R TKO ブルース・フィンチ
(WBA・WBC世界ウェルター級タイトル戦、1982年)
(ダウンシーン)
2R:右ストレート、右フックで2度、フィンチがダウン
3R:左フックでフィンチがダウン
(感想:レナードがタイトル防衛。トーマス・ハーンズを破って世界ウェルター級王座を統一したレナード。その次の試合がこのフィンチ戦。フィンチはオハイオ州出身。ハーンズにKOされたことがあるが、その後、北米ウェルター級王座を獲得し、このところ連勝中。アマ時代に対戦したときはレナードの勝ち。プロではどうか? ネバダ州リノでの一戦。ダッキングを使いながら前進するフィンチ。正確なジャブ、そして右ストレート。左フックからの右ストレートといったコンビネーションも使う。しかしながら、パンチのスピード・キレはレナード。ワンツーからの左フックにはパワーも。2R、レナードをコーナーに追い込むフィンチだが強烈な左ボディ、右フックを食らい、左フックからの右ストレートでダウン。立ったが、右フックで二度目のダウン。3R、アッパー気味の左フックを打たれて足に来たフィンチ。左フックでダウン。立ったが、レフェリーストップ。ダウンする前にレフェリー(ミルズ・レーン)が試合を止めようとしたほど直前のアッパー気味左フックは強烈なものだった。レナードが動きの機敏さ、パンチのキレ&パワーで圧勝。最早「普通レベルの世界ランカー」では勝負にならない強さを見せた。フィンチは残念。再起戦で新鋭ドナルド・カリーにTKO負けして北米王座から陥落。以後は負けが込んでいった。レナードも受難。次に予定されていたロジャー・スタフォードとの防衛戦が直前でキャンセル。理由は「左目の網膜剥離」。ハーンズ戦の前に行ったスパーリングで相手のヒジが目に当たったのが原因という。「リングでやり残したことは何もない」「引退したら映画俳優になろうかな」と語っていたようだが、網膜剥離からカムバックした選手もいたため、本当にリングを去ることになるとは本人も思っていなかったに違いない。引退発表のセレモニーが開かれ、モハメド・アリ、ケン・ノートン、マービン・ハグラーらがレナードを讃えた。)
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