世界の名ボクサー:ドノバン・ラドック③「カナダのスマッシュ」

ヘビー級ハードパンチャー。大試合&意外な惨敗。マイク・タイソン戦(初戦・再戦)、グレグ・ペイジ戦、フィル・ジャクソン戦、レノックス・ルイス戦を紹介します。

ドノバン・ラドック(カナダ)
身長191cm:オーソドックス(右構え)

①マイク・タイソン 7R TKO ドノバン・ラドック
(ヘビー級12回戦、1991年)
(ダウンシーン)
2R:左フックでラドックがダウン
3R:左フックでラドックがダウン
(感想:これまで25勝(18KO)1敗1分で、世界2位のラドックが大物と対戦。当時、世界ヘビー級王者はイベンダー・ホリフィールド。しかし、ファンはマイク・タイソンが一番強いと考えており、ラドックにとってもタイソン戦は事実上の「ヘビー級ナンバーワン決定戦」という認識(当時)。タイソンにとってこの試合はジェームス・ダグラスに東京でKOされた復帰三戦目にあたる。かつてタイソンが世界王者だった頃にラドックが挑戦する話があったが、タイソンが急病のため試合キャンセル。そしてタイソンが東京でKO負け。それから時間が経ち、「世界王座挑戦者決定戦」のような位置付けでこの「タイソン vs. ラドック」が実現。ラスベガス「ミラージュ」での一戦。強打者同士が初回から豪打をぶつけようとする。ラドックは得意の左パンチ。しかしながら、左にこだわりすぎで打ち終わった後にガードの隙ができてしまう。タイソンはジャブを使いながら接近し、ガードの隙を狙う右フック(タイソンは「単なる強打者」ではない。相手に合わせたボクシングもできる)。2R、左フックでラドックがダウン(「スリップ」だと思うが、レフェリーのリチャード・スティールは「ダウン」としてカウント)。そしてタイソンが肩をぶつける反則。消耗の激しい打撃戦、もみ合い。ラドックのスマッシュは距離を取って使うのが効果的であるためタイソンは執拗に密着戦に持ち込み、強烈な左ボディ打ち。3R、左フックでラドックがダウン。6R、ラドックが左フック、右ストレートをヒットさせ、タイソンが反撃(大いに観客席が沸く)。7R、それまでと同じようなもみ合いの中、タイソンが右ボディからの左フック。グラついて後退したラドックにタイソンが左右フック連打、レフェリーストップ。ラドックとしてはパンチは効いてはいたが続行可能な状態。「ストップが早い」とクレーム。リング上はラドックのセコンドが暴れて大混乱に。そういったことからすぐさま再戦が行われることが決定。試合後、タイソン「ラドックのパンチは強かった」と語り、ラドックを認めた。「凄い試合だった」とフリオ・セサール・チャベスも絶賛。しかしながら、ラドックはクセのある選手。「個性的」ということはそれだけ「隙がある」という場合が多い。「スマッシュ」は打った後、ガードがガラ空きになるが、再戦はどんな内容となるか?)

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