世界の名ボクサー:マーク・ブリーランド①「長身&鋭く伸びるジャブ」

WBA世界ウェルター級王者、オリンピック金メダリスト。デビュー戦のドワイト・ウィリアムス戦、ヘッジモン・ロバートソン戦、ジョン・ムンダガ戦ほかを紹介します。

マーク・ブリーランド(アメリカ)
身長188cm:オーソドックス(右構え)

①マーク・ブリーランド 6R 判定 ドワイト・ウィリアムス
(ウェルター級戦、1984年)
(感想:ニューヨーク州ブルックリン出身のブリーランド。1963年5月11日生まれ。身長が188cmもあり、リーチは196cm(ヘビー級のような長さ。しかしながら、体型はかなりスリム)。基本的にはマジメな青年。しかし、荒っぽい町で育っただけに武勇伝もそれなりにあるという(チンピラと決闘、など)。伝説の「ジョー・フレージャー vs. モハメド・アリ(第一戦)」を会場(マジソン・スクエア・ガーデン)で観戦し、ボクサーに憧れる。9歳でボクシングを始め、アマチュア選手としては非常に優秀で数々のタイトルを獲得(アマ時代から長いジャブ、ストレートが武器。普通、長いパンチを使う選手はどこかぎこちないところがあるが、ブリーランドのパンチは実にキレがあり、それでいてコンビネーションは実にスムーズ。アマ時代に日本で試合したことも)。ロサンゼルス・オリンピック(1984年)ではウェルター級で出場し、金メダル。プロ入り前には映画にも出演。プロ入り後は「スター」として売り出されることになり、21歳でデビュー戦。ウィリアムス(27歳)はニューヨークの黒人。デビューから連勝だったが、直前の試合で判定負け、初黒星。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦。「ナイト・オブ・ゴールド」と名付けられた興行(ブリーランドにとってはボクサーになるキッカケとなった会場でデビュー。ファイトマネーは10万ドル。ダン・デュバ傘下のイベンダー・ホリフィールド、メルドリック・テーラー、パーネル・ウィテカーらもこの日にデビュー)。金色トランクスのブリーランド(まるでJ・ミドル級時代のトーマス・ハーンズのような雰囲気)。セコンドには名物男ルゥ・デュバ。ウィリアムスがフックで先制攻撃。金メダリストを食ってやろう、という意気込みを感じる攻め。しかしながら、ブリーランドはタダ者ではない。相手の攻撃をかわしてシャープなジャブ、右ストレート。接近戦では長いリーチを持て余すことなく左右フック。前に出るウィリアムスだが、パンチの振りが大きいため攻撃の正確さに欠ける。2R、ブリーランドが左右フック連打、左ボディ打ち、右ボディアッパー。その後も攻めるウィリアムスに対し、ブリーランドはディフェンスしながら距離を取ってジャブ、遠くからでも正確に当てるフック。6R終了。判定は3-0。ブリーランドがジャブ、ディフェンスで勝利。なかなかアグレッシブなウィリアムスに手こずった感もあったが、打たれたわけではなかったので「合格点」といったところ。ウィリアムスはエネルギッシュだが、雑な攻め方。この後、再起戦でTKO負けしてそれが最後の試合となった。)

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