世界の名ボクサー:ティム・ウィザスプーン②「恐怖の強打」

WBA・WBC世界ヘビー級王者。初の世界挑戦&二度目の挑戦。ラリー・ホームズ戦、ジェームス・ティリス戦、グレグ・ペイジ戦、ピンクロン・トーマス戦を紹介します。

ティム・ウィザスプーン(アメリカ)
身長192cm:オーソドックス(右構え)

①ラリー・ホームズ 12R 判定 ティム・ウィザスプーン
(WBC世界ヘビー級タイトル戦、1983年)
(感想:ホームズがタイトル防衛。これまで15戦全勝(11KO)のウィザスプーン(25歳)が「WBC3位」として初の世界挑戦。しかしながら、マイナスの材料。スナイプス戦後、スパーリングでアゴを負傷。11ヶ月ぶりの試合となる。王者ホームズ(33歳)はおなじみ。「イーストンの暗殺者」と呼ばれ、ケン・ノートンを破って以来、14度の防衛成功。42戦全勝(30KO)。数字の点ではウィザスプーンが大きく見劣りするが、どんな試合となるか? ラスベガスでの一戦(リングアナはジミー・レノン、レフェリーはミルズ・レーン)。共に白のトランクス。速くて正確なジャブ。しかしながら、手数に差が。ワンツーからの左フック、左フックからの右ストレートといったコンビネーションのホームズ。ウィザスプーンは腕をクロスする独特のディフェンスをしながらジャブで前進し、大きな右フック。ビッグパンチを狙いすぎて攻撃が単発に終わる。ホームズがレーザービームのようなワンツー、そして相手の追撃を阻むクリンチでポイント上、優勢。そして9R(この試合、最大の見せ場)。右フックの応酬。フックを連続で浴びてホームズがピンチ。しかし、右ストレートで何とかしのぐ。10R、ウィザスプーンがモハメド・アリのような「フットワーク&ジャブ」で会場が沸く(個人的にはもっと攻めるべきだったと思うが)。その後はホームズが距離を取ってジャブ、右カウンター。12R終了。勝ちを確信しているウィザスプーンは両手を上げてアピール。ホームズは疲れた表情(「ウィザスプーン vs. スナイプス」を観戦していたときの余裕の表情と対照的)。判定は2-1。ウィザスプーン及ばず。世界初挑戦にしてはよくやったと思うが、一発狙いをかわされ続けたという点では残念な試合ぶり。ホームズはパンチ自体は強いものがあったが、やはり歴戦の疲れが。打たれたときに押され気味になってしまった。この試合後、ホームズは新興団体IBFからも「世界王者」として認定。スコット・フランクを破ってWBC王座16度目の防衛に成功後、WBC王座剥奪。以後は「IBF王者」として引き続き防衛戦を行っていく。)

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