世界の名ボクサー:ロッキー・マルシアノ③ラスト「イタリア系の高性能爆弾」

世界ヘビー級王者。世界王座防衛戦。エザード・チャールズ戦(初戦・再戦)、ドン・コッケル戦、アーチー・ムーア戦(ラストファイト)を紹介します。

ロッキー・マルシアノ(アメリカ)
身長179cm:オーソドックス(右構え)

①ロッキー・マルシアノ 15R 判定 エザード・チャールズ
(世界ヘビー級タイトル戦、1954年)
(感想:マルシアノがタイトル防衛。三度目の防衛戦の相手は元王者。挑戦者チャールズはジョージア州出身の黒人で、貧しい農家の生まれ。家族に愛され、悪事とは無縁の好青年。アマチュアでは無敗でミドル級王者になったことも。プロではライトヘビー級で勝負し、へビーに転向。ジョー・ルイスが返上したNBA王座(WBAの前身にあたる組織。後に「N」が「W」になって一時的に「唯一の世界王座認定団体」となった)をジャージー・ジョー・ウォルコットとの決定戦で獲得。前王者ルイスらを相手に防衛に成功したが、ウォルコットに雪辱されて王座陥落。再戦にも敗北し、王座返り咲きならず。ウォルコットを下して王者になったマルシアノに挑戦。王座奪回なるか? ブロンクス「ヤンキースタジアム」での一戦。似たところがある二人。構え方、スピード、戦い方。互いに警戒しながらジャブ、ストレート、フック。チャールズがワンツー、パワーを込めた右フック。右アッパーでカウンターを取るテクニックも披露。当てる巧さがある。マルシアノは前に出るが、クリンチされてしまう。しかし、やはりチャールズはピークを過ぎた選手。マルシアノがいかにも重そうなパンチ(特に右アッパー、左右フック)で優勢に。15R終了。判定は3-0。マルシアノがパワー、攻めの姿勢で勝利。チャールズはスピード、パワーという点でもう一つ。マルシアノは確かに全勝のパーフェクトレコードだったが、「全盛を過ぎた実力者」との防衛戦で苦戦するシーンもあった。そのためマルシアノを高く評価しない識者もいる。試合後、マルシアノは「自分にとって最も厳しい戦いだった」と語った。)

ここから先は

2,779字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?