世界の名ボクサー:ルペ・ピントール④ラスト「アステカの戦士」

WBC世界バンタム級、J・フェザー級王者。J・フェザー級へ進出。ウィルフレド・ゴメス戦、ファン・キッド・メサ戦、サーマート・パヤクアルン戦ほかを紹介します。

ルペ・ピントール(メキシコ)
身長163cm:オーソドックス(右構え)

①ウィルフレド・ゴメス 14R TKO ルペ・ピントール
(WBC世界J・フェザー級タイトル戦、1982年)
(ダウンシーン)
14R:連打、左フックで2度、ピントールがダウン
(感想:ゴメスがタイトル防衛。試合前、ピントール「これは私にとって最も重要な試合」と語ったという。これはどういう意味なのだろう? 名王者カルロス・サラテに僅差の判定で勝ってWBC世界バンタム級王者になったピントールだが、「負けたのに王者になった奴」という辛辣な関係者やファンからの声。世界王者として十分にその強さを見せてきたが、やはりサラテ戦での屈辱的な評価を忘れられないのだろう。サラテはゴメスに挑戦してKO負けしている。ピントールとしてはゴメスを倒して、「真の世界王者」として万人に認められたいところ。王者ゴメスは説明不要のプエルトリカン。「バズーカ」と呼ばれる強打で連続KO防衛。昨年のWBC世界フェザー級王者サルバドル・サンチェスへの挑戦はKO負けに終わったが、その後も王座をKO防衛し、ピントール戦は17度目の防衛戦となる。ニューオーリンズで行われた一戦(「ウィルフレド・ベニテス vs. トーマス・ハーンズ(WBC世界J・ミドル級王座戦)」の前座カード)。ゴメスが強打でプレッシャーをかけ、ピントールが打ち返すタフな展開。次第に顔が腫れ出すゴメス。疲労が見られ、ラウンド終了時にはセコンドがゴメスを抱きかかえてコーナーに連れて帰る場面も。「顔の腫れ」だけだとゴメスが負けているようにも見える状態であったが、ピントールのダメージも深く、14Rに二度のダウンでレフェリーストップ。非常に激しかった試合はゴメスがギリギリの勝利。ピントールは負けたが見事な右のカウンターを見せるなど、立派な戦いぶりだった。この試合は結果的にゴメスのJ・フェザー級での最後の防衛戦に。この後、ゴメスはWBC世界フェザー級タイトル、WBA世界J・ライト級タイトルを獲得し、三階級制覇を達成するが、フェザー級王座はアズマー・ネルソン、J・ライト級王座はアルフレド・ライネに豪快にKOされて王座転落。J・フェザー級時代のような凄みを見せることはできなかった。そして全盛を遙かに過ぎてカムバック。別人のように丸っこくなった身体で二連勝、引退。その後は現役時代の激しい戦いが原因なのか、体の不調に悩まされているらしい。)

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