世界の名ボクサー:トミー・モリソン①「白人期待のヘビー級」

WBO世界ヘビー級王者。映画にも出演した「才能ある白人」。アマ時代&プロ初期の試合。レイ・マーサー戦、ジョー・アダムス戦、エルビン・エバンス戦ほかを紹介します。

トミー・モリソン(アメリカ)
身長188cm:オーソドックス(右構え)

①レイ・マーサー 3R 判定 トミー・モリソン
(オリンピック・トライアル戦、1988年)
(感想:映画『ロッキー5/最後のドラマ』に出演したこともある人気選手モリソン。プロ入り後の1989年4月にビル・ケイトンと契約。トレーナーとしてケビン・ルーニー(マイク・タイソンを育てた男)がサポート。「白人版タイソン」といったファイトぶりで人気があった。「謎の男」でもある。アーカンソー州出身。兄ティム・モリソンもヘビー級ボクサーになった(プロでは負けが多かったが、オリバー・マッコール、アレックス・スチュワートと対戦)。あの俳優ジョン・ウェインの甥というウワサがあるが、モリソンは「荒れた家庭」の出身。「遠い親戚」なのかもしれないが、死後も稼ぎ続けるジョン・ウェインと関係があるとは思えない。年齢を偽って「タフマンコンテスト(ケンカ試合)」に出場。その後、アマチュアボクシングへ。1988年ソウル・オリンピック出場を懸けた国内予選でレイ・マーサーと対決。マーサーはフロリダ州ジャクソンビル出身。軍隊でボクシングを始めた。後にプロでは名前をもじって「Merciless(無慈悲)」と呼ばれるようになるが、アマ時代はどんな戦いぶりだったのか? カリフォルニア州コンコルドでの一戦。アマチュア試合ということで共に丁寧なボクシング。ジャブ、右ストレート。攻める姿勢のモリソン。左フックを使うが、後にプロで見せるような豪快な打ち方ではなく正確に当てようとする打ち方。マーサーはジャブが正確で右ストレートには伸びがある。パンチを当てる巧さとディフェンスでマーサーがポイントを取っている印象。マーサーの連打にモリソンはクリンチ。3R終了。判定はマーサー。後にプロで見せる正確なパンチ、意表を突く右アッパーが効果的だった。モリソンはこの試合の時点では「普通の青年」といった試合ぶり。オリンピック出場ならず、プロ転向。マーサーはソウル・オリンピックのヘビー級で金メダルを獲得。後、WBO王座を懸けてモリソンと対戦。)

ここから先は

2,067字
この記事のみ ¥ 100
期間限定!PayPayで支払うと抽選でお得

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?